※この記事は2020年10月7日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
「断腸の思い」でスキから離れる
コロナ禍により自分の仕事が大きく変わって、半年が過ぎようとしています。大きな変化は、ライブ配信や動画が格段に増えたことでしょうか?現在、カメラに向かってお話する回数は、およそ週3。事前に構成を考えたり、台本を書いたり、最終的な見え方を想像して演出を練り直したりの時間も含めると、働く時間の1/3はライブ配信、および動画の収録に費やしています。コロナ前は1/10にも満たない程度でしたから、大きな変化です。そう言えばラジオで芸人のトーク番組を聞いていると、彼らによるYouTubeの話が出てこない日はありませんね。ラジオというオールド・メディアで、YouTubeというニュー・メディアの話をする、テレビという古くなりつつあるメディアに出ていた芸人たちの話を聞くと、「時代は変わったんだ。私たちも変わらなくっちゃ」と思います。
話を、芸人から私に戻しましょう。週に3回もライブ配信の準備、同じく週に3、4回の頻度でメルマガ、つまりこの“お手紙”をしたためていると、まぁまぁな時間を「書く」という業務に割くことになります。私がスタートした連載は9月以降、大半を後輩に譲りましたが(無理やり渡したのかもしれませんw)、それでも「トーチング」連載などはどうしても自分で続けたいし、元来プレイヤー気質で取材して記事を書くことは大好き。本能の赴くままに突っ走ると、あっという間にマネジャーの一面は見る影もなくなってしまいます。でも誰もが未経験の状況下で迅速なディシジョン・メーカーがいないのは、本当にキツいことです。今あらためて思うのは、「書く」という業務を今まで以上に絞り込まなくちゃいけないという自戒。個人的に断腸の思いではありますが、いよいよ受け入れるべき時が訪れたのでしょう。
なんてコトを考えていたら本日、皆さんに参加を募った「トーチング」のセッションの取材中、同じような悩みを聞きました。本日の悩める業界人は、セレクトショップのトップ販売員であるがゆえ経営や店舗運営にも半分足を突っ込んでいる女性でした。コロナ禍で厳しい状況だから、「一着でも多く売らなくちゃ」と思ってしまう。でも、そう思って動けば動くほど、自分はプレイヤーになってしまう。そんなジレンマに陥っていらっしゃいました。
分かる~。厳しい時って、目の前の問題に集中しなくちゃって思うし、周りの環境も遠い将来を想像することを簡単に許してくれませんよね。でも、目の前に集中してしまうと、次の展望は開けない。状況は苦しくても、いや、苦しいからこそ、私のように「断腸の思い」でスキなことから、得意なことから離れなくちゃならない時ってあるのかもしれません。
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