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ラグタグの巨大倉庫で考える アパレルの動脈と静脈 エディターズレター(2021年1月7日配信分)

※この記事は2021年01月07日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ラグタグの巨大倉庫で考える アパレルの動脈と静脈

 年末に大手古着店「ラグタグ」の巨大倉庫を取材しました。全国17店舗やオンラインを通じて消費者から買い取られた古着が全てここに集められ、真贋チェックやコンディション確認などを経て販売価格がつけられた後、全国の店舗に送り出されます。店舗とECの在庫は一元化されているので、ささげ(採寸、撮影、原稿)作業も同時に行います。新品のアパレルの倉庫と違い、古着は一点ものばかり。だから全ての作業が一点ずつ行われます。詳しくはリンクにある「古着店『ラグタグ』の巨大倉庫に潜入」の記事をご覧ください。

 記事では巨大倉庫を「『ラグタグ』の心臓」と表現しました。心臓という言葉は、「中心部」の意味の例えでよく使われます。何気なく使われる比喩ですが、服を循環させるという意味では、まさに循環器としての心臓に相当するわけです。

 服が消費者に届くまでの過程は、昔から川の流れに例えられてきました。すなわち原料、糸、生地などが「川上」、デザインや縫製が「川中」、小売りが「川下」。消費者に服が渡ったところで川の流れは完結していたわけです。

 しかし「ラグタグ」のようなリユース専門店、フリマアプリのメルカリなどの台頭で、消費者が古着を売ったり買ったりする習慣が浸透し、川の流れだけでは捉えきれない市場構造になっています。

 「動脈産業」「静脈産業」という言葉があります。製造業など製品を生み出すのが動脈産業、その廃棄物を回収して再生・再利用するのが静脈産業。血液の循環にたとえて、そんな風に呼ばれるようになっています。この2つの産業が連携することによって、限りある資源が循環する持続可能な社会に近づく。

 大量生産・大量消費から循環型社会への転換が求められる時代になりました。特に繊維ファッション産業は供給過剰の作りっぱなし、売りっぱなしの業界として厳しい目が注がれています。新品を作って売るだけの一方通行ではなく、消費者が袖を通してからの服を回収して再び古着として商品価値を与える、あるいは資源としてリサイクルする、そんな循環型への転換にいま多くの企業が取り組み始めています。

 心臓から動脈を通じて送り出された血液が、静脈を通じて再び心臓に戻され、身体中をぐるぐる巡る。「ラグタグ」の心臓である巨大倉庫を取材し、そんなイメージを抱きました。

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