1月6日午後(現地時間、以下同じ)、米連邦議会にドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の支持者らが大挙して押し寄せ、武器を手に議事堂内に侵入した。
米連邦議会では、昨年11月に行われた米大統領選の投票結果を認定する上下両院の合同会議が開かれていたが、事態を受けて一時中断。議長を務めるマイケル・ペンス(Michael Pence)米副大統領や議員らが避難する騒ぎとなった。現地メディアによれば、現在は議事堂内の安全は確保されているが、女性一人を含む4人が銃撃などにより死亡した。
連邦議会がある首都ワシントンの市長は、6日午後6時から翌午前6時までの外出禁止令を発動したが、同市内にあるラグジュアリーブランドや小売店の多くは暴動の発生などを警戒し、5日午後には一時的な休業措置を取っていた。
米株式市場では、ジョージア州の上院決選投票で民主党が勝利したことを好感し、6日にはダウ工業株30種が最高値を更新した。しかし今回の事件で上下両院の合同会議が中断されたことを受けて市場の勢いが削がれ、ナスダック総合は下げに転じた。
米投資顧問キングスビュー・インベストメント・マネジメント(KINGSVIEW INVESTMENT MANAGEMENT)のポール・ノルティー(Paul Nolte)=ポートフォリオ・マネジャーは、「1月20日にジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領の就任式が行われるが、それ以降は事態が落ち着くのではないか。(トランプ大統領の)支持者らが暴動などを起こさなければ、数日から一週間程度で市場は回復すると思われる」と分析した。一方で同氏は、「政治的な立場の違いによって米国は大きく分断されてしまった。今後、社会を融和させていくのは非常に難しいだろう」との見方を示した。
今回の事件に先立ち、トランプ大統領はホワイトハウスの前で集会を開き、大統領選で不正があったなどの誤った主張を展開して「敗北を認めない」と演説し、議事堂に向かうよう支持者らに呼びかけていた。同氏はツイッター(Twitter)でも同様の内容の投稿を行っていたが、現在それらはツイッター社により閲覧できないようになっている。なお、同社は度重なる重大な規約違反があったとしてトランプ大統領のアカウントを一時的に凍結しており、今後も違反が続いた場合にはアカウントを永久停止とする考えを示した。