※この記事は2020年11月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
ステラのユーモアがファッションと地球を救う
あ~おもしろいインタビューだった!と、読後しみじみとしているのがリンク1本目、ステラ・マッカートニーの記事です。
2021年春夏コレクションのデジタルプレゼンテーション直後に開いたオンラインカンファレンスでのやりとりを記録したもので、同時に発表したサステナビリティに関する“AtoZマニフェスト” についても触れています。
記事のリードに「約1時間のカンファレンスで、際どい質問に対してもステラは終始リラックスムードでユーモアを交えながら返答した」とありますが、その様子が行間から伝わってきます。ちなみに“AtoZマニフェスト”はブランドの理念をAからZで表現し、かつアーティストとコラボレーションしたもので、たとえばS はずばりサステナビリティで日本の空山基さんとコラボをしています。
サステナビリティの話って難しくなりがちですよね。ご存知の通り、ステラは長年サステナビリティに取り組んでおり、ファッション分野においてその最先端を行く人。でもなのか、だからこそなのか、彼女の話はユーモアが散りばめられていて気張らずに受け止めることができます。そして読むと元気をもらえます。1本100円の有料記事ですがその価値があると胸を張って言えますので下記のフレーズにピンときたらぜひどうぞ!
「このパンデミックによって私にとってクリエイティビティーとはみんながつながることであることにも気づいた」
「生地、素材、デザイン、技術を駆使すれば見た目だけじゃないフレッシュ感を出すことができると思う。“新しさ”とはトレンドとして半年後に切り捨てられるという意味ではないと思う」
「“なぜ私たちはそれを行うのか”と問う必要がある。マーケティングのためにやるのではなく、それは未来の若者たちがそう要求しているから」
「ショーを行うことは当たり前だと思っていたけれど――そういう考え、駄目よね。何事も当たり前と思ってはいけない」
「この業界は絶対に短期間で変わることができる。新型コロナウイルスの感染拡大がみんなの注意を環境問題に引きつけたのは確かよ」
サステナビリティの取材が増えて思うのは、行動を起こしている人たちはたいがい楽しそうだし、笑顔が多くていい顔をしている、ということ。「いい顔、いい表情」は主観的ですが私は大切なことだと思っています。振り返れば25年前、自分がこの世界に飛び込んだきっかけも就職試験を受けたアパレルメーカーの面接官たちがファッションの仕事に情熱を持ち、「何歳になっても何かを諦めない」いい表情をしていたから。彼らに惹かれ、「この人たちと働きたい」と思い、その後出会った数多くのファッション関係者にも同じ「いい表情」を見出し続けて今に至りますが、最近特に「いい表情」をしているのがサステナビリティとファッションビジネスを結びつけようと奔走している人たちです。この記事のステラもそう。ユーモアを交えて話す言葉尻に笑顔が見えます。
来週のこのレターではそんな人の一人を紹介する予定です。お楽しみに。また来週!
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