投資会社のセコイア・キャピタル・チャイナ(SEQUOIA CAPITAL CHINA以下、セコイア・チャイナ)が、ファッションブランド「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI以下、アミ)」の株式の過半を取得した。「アミ」は気鋭のメンズブランドで、2019−20年秋冬からはウイメンズもスタートしていた。サンフランシスコに本拠を置くセコイアはIT系のベンチャーキャピタル(VC)としてはよく知られた存在で、セコイア・チャイナも多くのIT系のスタートアップに投資を行っている。買収額などは非公開だが、「アミ」はセコイア・チャイナの買収により、デジタルと中国展開を強化するようだ。
「アミ」の2020年の売上高は前年比1.5倍の約5000万ユーロ(約63億円)で、現在直営店はパリ、ロンドン、東京、北京、上海、成都に8店舗、卸先は360店舗。現在直営店のない米国市場を強化するため、NYとLAで直営店を検討しているという。
アレクサンドル マテュッシ社長兼クリエイティブディレクターは引き続き現職にとどまり、クリエーションにセコイア・チャイナはタッチしないという。また、残りの株はマテュッシとニコラス・サンティ・ウェイル(Nicolas Santi-Weil)CEOが保有する。サンティ・ウェイルCEOによると、もともと「アミ」はデジタルに強く、売上高全体のEC化率は27%に達しており、有力なネット通販サイトでパートナーシップを結んでいる英マッチズファッションドットコム(MATCHESFASHION.COM)や「エッセンス(SSENSE)」との取り組みもあって、特に卸では40〜45%に達しているという。
アリババやテンセント、「TikTok」のバイトダンス、JDドットコムへの投資で知られるセコイア・チャイナは、資本だけでなく、テクノロジーとリテールテックの分野でサポートする考えで、ニール・シェン(Neil Shen)=セコイア・チャイナ マネジングパートナーは「デザイナーブランドの世界市場での存在感を高めたい。もう1つの大きな目標はラグジュアリー産業をDXにより、次のレベルに引き上げることだ」とコメントしている。