ビジネス

販売員のデジタル接客「スタッフスタート」とecbeingが連携を発表 最短1カ月で導入可能で多くの需要に応える

 実店舗の販売員をオムニチャネル化するアプリケーションサービス「スタッフスタート(STAFF START)」を運営するバニッシュ・スタンダードと、通販サイト構築システム「ecbeing」を運営するecbeingが、このほど連携することを発表した。「スタッフスタート」の人気機能を標準連携化することで、企業側が導入する際、導入コストが従来の約5分の1、ランニングコストも約3分の1、導入期間も従来の約3分の1になるパッケージを開発した。

 「スタッフスタート」とは、販売員が着用したコーディネート写真をブランドのECサイトや各個人のインスタグラムなどのSNSに投稿するもので、商品が売れた場合、売り上げの数パーセントがインセンティブ(成果報酬)として給与に加算されるのと同時に、その販売スタッフが所属する店舗の売り上げとして計上される仕組みだ。今回の連携では、「スタッフスタート」の人気機能である“コーディネート投稿機能”と販売員がスマートフォンでブログ(特集)を作成する“まとめ機能”を標準装備する。

 昨年4月に発出された緊急時代宣言以降、店舗を一時閉めざるを得ない状況下において、店舗に立てない販売員が自宅でも販売できるとして、「スタッフスタート」の導入数は飛躍的に伸び続け、2020年1年間の流通総額は昨対2.75倍の1104億円を突破し、導入ブランド数も1200を超えた。「スタッフスタート」を活用して月額売り上げ最高約9000万円以上を記録する販売員も出てきており、1回の投稿における売り上げ最高額は約1300万円にも上る。今回のecbeingとの連携で、店頭に立たなくともデジタル接客できる「スタッフスタート」の需要の高まりにスピーディーに対応することが狙いだ。

 通販サイト構築システムとして12年連続シェア1位を達成するecbeingと、急速にサービスを拡大する「スタッフスタート」がタッグを組み、標準連携化の独占契約を締結したことは、EC業界において大きな話題となりそうだ。両者のトップに提携の背景を聞いた。

WWD:今回の連携の意図は?

林雅也ecbeing社長(以下、林):これまでは、「スタッフスタート」を企業が導入する際、一社一社オリジナルで作るオーダーメイドの個別対応だったため、実装に3カ月以上かかっていた。それをパッケージ化し、標準連携することで、コストも安く抑えられ、導入期間も早くなるのが最大のメリットだ。

WWD:それにより新規拡大を狙っていく?

林:むしろ、既存でお付き合いがあったり、お問い合わせをいただいたりしている企業にスピーディーに対応することが先決だと考えている。新規バージョンのみならず既存バージョンを利用している場合でも対応できるように開発している。

小野里寧晃バニッシュ・スタンダード社長(以下、小野里):導入コストや導入期間だけでなく、通販サイトのEC担当者の作業負担もかなり軽減される。

WWD:ecbeingではなく他社でEC構築をしている企業は、このパッケージを利用できるのか?

林:その場合はecbeingのシステムに乗り換えてもらう必要がある。

WWD:ecbeingにおける現在のファッション、ビューティのクライアント数はどのくらいあるのか?

林:全体で1300社あるうちの300社くらいだ。

WWD:首都圏では2度目の緊急事態宣言が発出されたが、時短営業などで販売員の実店舗での働く時間も短縮され、店舗閉鎖も続いている。

小野里:多くの企業から引き続き「スタッフスタート」導入の問い合せが続いている状況だ。オーダーメイドの場合、3~6カ月かかる場合もあったが、1カ月でローンチできるため、多くの要望にスピーディーに対応することができる。

WWD:導入コストは従来の5分の1、ランニングコストも3分の1ということだが、具体的にはどのくらいの予算感で導入できるのか?

林:具体的な金額は公表していないが、数百万円もかからずに導入することができる。

WWD:多くの通販サイトの構築を手掛けている立場から見えてくる企業側の課題は?

林:ECから“eビジネス”へ変化していかなくてはならない。つまりオムニチャネル化だ。店舗のスタッフが果たす役割も変化している。EC単独では終わらせず、循環させることが大事。消費者にとっていかに最適に買い物ができるかを考えることだ。

WWD:そのためには何が必要か?

林:組織における従来の縦割りを打破すること。そしてそれぞれの活躍を可視化すること。まだまだそれが浸透しきれていない印象だ。

小野里:店舗をなくさず残し続けるためにECの活用がある。そのために“評価のオムニチャネル化”の必要性をずっと伝えてきた。個人の、そして店舗ごとの評価が重要。ECだけだと、どうしても同質化してしまう。

林:やはり店舗は大きな役割を果たしている。販売員のセンスやマーケット情報などを含め、ブランドの文化というのは店が発信している。それぞれ店の個性的な販売員がそのブランドの文化でもある。

WWD:今後の展望は?

小野里:今回はコーディネート機能、まとめ機能といった「スタッフスタート」の人気機能を標準連携しているが、今後はレビュー機能やライブ接客などの機能も加えていけたらと思っている。そしてアパレル、ビューティ以外のライフスタイル全般にも対象範囲を広げていきたい。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。