ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)は、「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢デザイナーをゲストデザイナーに迎えたオートクチュール・コレクションのお披露目を7月に再延期する。同コレクションは、2020年1月にゴルチエ自身がランウエイを引退した後に立ち上げた新プロジェクトの第1弾で、毎シーズン、ゲストクリエイターを迎えてオートクチュールを制作するというもの。当初は20年7月で披露される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてオートクチュール・ファッション・ウイーク(以下、クチュール)自体がデジタル開催となったため、1月27日に延期されていた。しかし、1月25〜28日に開催される21年春夏クチュールもパリ警察からショーに観客を招待することを禁じられており、再び延期を決めたようだ。
ただ、この延期により、7月のクチュールは話題性の高いものになるだろう。目玉の一つは、創業者のクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)の引退後、53年ぶりに「バレンシアガ(BALENCIAGA)」がクチュールを再開すること。同ブランドも当初は20年7月に発表を予定していたが延期しており、同9月にはデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)=アーティスティック・ディレクターがシーズンレスなクチュールを年1回のみに絞って披露することを発表。「クチュールはじかに見る必要があるもので、スクリーン上で見せることはできない」という考えから、リアルなランウエイショーを予定している。
それと同じくらいエキサイティングなのは、阿部デザイナーのようなエッジの効いた才能がゴルチエの膨大で折衷的な作品を解釈し、彼のアトリエの素晴らしいノウハウを活用することだ。ゴルチエは阿部デザイナーの服作りを称賛しており、同プロジェクトの発表時には「私たちはクリエイティビティーにおいて多くの共通点を持ち、ファッションに対して同様のビジョンを持っている。完全なる自由をもって彼女にデザインしてもらいたいと思っている」とコメントしている。