「ユニクロ(UNIQLO)」などを運営するファーストリテイリングの2020年9~11月期決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比0.6%減の6197億円となったものの、営業利益は同23.3%増の1130億円と大幅な増益となった。国内と中国本土、台湾のユニクロ事業が増収増益で全体に寄与。ルームウエアなどで在宅需要をつかみ、コロナの勝ち組の道を突き進んでいる。
国内ユニクロ事業の売上収益は同8.9%増の2538億円。値引き抑制などが効いて営業利益は同55.8%増の600億円だった。既存店売上高は3カ月間で同7.3%増。引き続き12月も同6.2%増と、休業が明けた6月以降、一度も前年実績を割り込んでいない。
売れ筋はルームウエアや“ヒートテック毛布”、テレビCMで打ち出した“スマートアンクルパンツ”など。11月に発売した「+J」やその他のコラボレーション商品も話題を集め、「新商品情報などを毎週工夫して打ち出す発信力がついてきたことが好調につながっている」(岡崎健グループ上席執行役員最高財務責任者)と自信を見せる。EC売り上げは同48.3%増の367億円で、売り上げ全体に占める割合は14.5%となった。
海外ユニクロ事業の売上収益は、米欧の苦戦で同7.2%減の2606億円。ただし、営業利益は同9.5%増の414億円と「ほぼ計画通り」。中国本土や台湾は低気温で防寒衣料も売れ、「独身の日(11月11日)」のEC販売も好調。コロナからの回復が早いベトナムも計画を上回った。
ジーユー事業の売上収益は同4.9%増の765億円、営業利益は同9.9%増の136億円。既存店売上高も「前年実績超え」だった。
2021年8月期は、コロナ前の19年8月期並みの過去最高業績(現地通貨ベースで)の売上収益2兆2000億円、営業利益2450億円を目指す。「コロナによって先行きは見通せず、不透明」としながらも、「通期の業績予想は現時点では十分達成できると思っている」。