現在国内外で注目を集めているクリーンビューティは、人体や環境に有害とされる成分を含まない製品を求める消費者を中心に需要を拡大してきた。最近は、“クリーンでありながら皮膚科医監修”というハイパフォーマンスな“クリーンニカル(Cleanical。クリーン×クリニカルの造語)”スキンケアが急成長している。調査会社のNPDグループ(NPD GROUP)によると、ドクターズブランドは米スキンケア市場の34%を担う最大のカテゴリーで、そのうち20%は“クリーンニカル”ブランドが占めているという。
クリーンビューティを多く扱う「グープ(GOOP)」では、自社製品を中心にeコマースでのクリーンニカルブランドの勢いを感じている。2020年9月にボディーバターを発売した際に初めて全てのプロモーションに臨床試験の結果を盛り込んだところ、売上高が1週目の予測を750%も上回ったという。ショーン・キアニー(Shaun Kearney)=チーフ・デザイン・マーチャンダイジング・オフィサーは、「“クリーンニカル”は、これまで以上に効果のある高機能な製品であることを連想させる言葉だ。体に塗布するため、原材料を気にする消費者も多い。今はサイエンスとウエルネスの融合が重視されている」とコメント。
独ドクターズスキンケアブランド「アウグスティヌス バーダー(AUGUSTINUS BADER)」はパラベン、香料、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウレス硫酸ナトリウム)、DEA(ジエタノールアミン)、重金属、鉱物油を使用せず、独自成分の「TFC8」を配合した製品を展開。創業以来、毎年200%の成長率を遂げている。チャールズ・ロジエ(Charler Rosier)共同創設者兼最高経営責任者は、「2020年の売上高は前年の3倍の7000万ドル(約72億8000万円)で、今年は1億ドル(約104億円)を超えると予測している。過去10年間のスキンケアトレンドを見てみると、クリーンとは言えない科学的な製品もあれば、大して科学的根拠のない自然派の製品も見受けられる。私たちはクリーンかつ科学的な根拠のある有効な成分を開発している。今の時代は、サイエンスとクリーンな処方は共存でき、妥協する必要がないのだ」と話す。
「ドクター バーバラ シュトルム(DR. BARBURA STURM)」創設者のバーバラ・シュトルム(Barbara Sturm)医師は、「最近の消費者は原料や成分の有効性についてよく知っているし、そうした情報を求めている。だから正しい情報を、科学的見解を持って伝えることが大事」と話し、免疫や健康への関心も高まっている今、“クリーンニカル”トレンドは時流に合っていると分析する。「111スキン(111SKIN)」のヤニス・アレクサンドリデス医師も「消費者は製品の中身とその効能について興味をこれまで以上に持っている」と同意見を示し、それらについて詳しく解説している公式サイトからの注文が増えているという。
これまでドクターズブランドは高い効果効能や皮膚科医監修といった側面がフォーカスされがちだったが、消費者のニーズや意識が変わる中で、今後は地球と人体に配慮したクリーンなドクターズコスメへの注目が高まりそうだ。