2011年夏に東京・渋谷で結成されたMY FIRST STORY(以下、マイファス)でボーカルを務めるHiro。5分で1万2000席が完売した日本武道館から始まり、幕張メッセ、横浜アリーナ、埼玉スーパーアリーナで公演を行い、着実にキャリアを伸ばしている。また父・森進一、母・森昌子、兄・ONE OK ROCKのTakaという音楽一家で生まれ育つ。そんな彼が昨年、本名の森内寛樹でソロデビューを発表。その背景には暗い世の中がありました。「エンターテイメントを生業にしている人間は、今、先頭立って引っ張っていくべきだと思う」。さらに「自分が着たいものを自分で作りたい」という思いから、ファッションブランド「ルール ザ フェイト(RULE THE FATE)」をスタート。それらを決断した理由について本人に迫った。
WWD:ソロデビューをしようと思ったきっかけを教えてください。
森内寛樹(以下、森内):新型コロナウイルスの影響により、家にいる時間が増え、自分にできることはマイファスの活動以外にないか考えました。そこでいつも応援してくれているファンの人たちからのメッセージを見て、新しい形で歌を届けようと思い挑戦することにしました。
WWD:1月20日に発売するソロアルバム「Sing;est」。この名を付けた理由は?
森内:歌手というジャンルの中で、一番上に立てたらいいなという願いを込めて付けました。また自分自身の背中を押すという意味も込めています。
WWD:収録されている10曲を選んだ決め手は?
森内:ファンの人たちからのリクエストも踏まえて、認知度が高くバンドで歌わなさそうな曲を選びました。またさまざまな世代の人が僕のことを知ってもらうきっかけになってほしいです。
WWD:特に難しかった曲は?
森内:カンザキイオリさんの「命に嫌われている。」は難しかったですね。当事者の姿が浮かばず、どの立場で歌えば良いのかを掴むのが難しかったです。
WWD:マイファスのHiroは東京ドーム公演を目標に活動している。森内寛樹はどこを目指していきたい?
森内:現状、先のことはまだ何も想定していません。一つの挑戦としてスタートした段階ですので、まずは周りの反応を見てから、次の指針を決めようかなと思っています。
WWD:自身の好きなファッションスタイルは?
森内:好きなスタイルは特にありません。自分の中の気分を変えるための一つのツールがファッションです。僕は縁を担ぐタイプで、一日のコーディネートを下着から全て決めていくんですよ(笑)。それに思い悩み始めると、服を選ぶのに30、40分かかる時もあるんですよね……。
WWD:年間どれくらいの洋服を買っている?
森内:僕は5〜10着をシーズンごとに一回にまとめて購入しています。それを次のシーズンまで着回していますね。
WWD:一番購入しているブランドは?
森内:「ディスカバード(DISCOVERED)」や「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」。素材やシルエット、デザインも僕の好みとマッチしているので着用することが多いです。
WWD:ファッションブランド「ルール ザ フェイト」も立ち上げましたよね。同ブランドを立ち上げた理由、ブランド名の由来は?
森内:「こんな服があったら良いな」「自分が着たいものを自分で作りたい」と思ったのがきっかけです。ブランド名は自分の胸に彫ってあるタトゥー(“自分自身の運命を支配する” という意味)から採用しました。
WWD:どんなアイテムをそろえた?
森内:最初はオールシーズン着用でき、ライブでも使いやすいパーカやロングTシャツなど、カジュアルなものをそろえました。特にこだわったライダースジャケットは素材、シルエット含めて自分の理想のものに仕上がりました。
WWD:アーティストが故にアパレルはサブと捉えられる見方もあると思うが、その辺りをどう考える?
森内:仮に音楽活動の数値が70%とするならば、そこを伸ばすよりも、新しく始めたアパレルを伸ばす方が楽しいし頑張れる。アパレルの数値を0%から上に引き上げたいし、その活動により音楽活動が80%になる可能性もある。新しいことに挑戦するのであれば中途半端なことはしたくないし、自分の中で納得がいくまでこだわり、世に出していきたいと思っています。
WWD:新型コロナウイルスにより世界中が暗いムードの中、音楽が持つ意味とは?
森内:音楽に限らず、エンターテイメントを生業にしている人間は、今まで以上に先頭立って引っ張っていくべきだと思います。今まで以上に何かを見る・聴くという行為が増えているなかで、僕のことを知ってくれるチャンスでもあるし、ジャンルを超えて何か面白いことができたら良いなと思っています。