全米小売業連盟(National Retail Federation以下、NRF)と米データ分析会社アプリス・リテール(APPRISS RETAIL)の調査によれば、2020年の米国における小売りの売り上げは4兆378億ドル(約419兆9312億円)で、その10.6%に当たる約4280億ドル(約44兆5120億円)相当が返品された。ホリデーシーズンには、これが13.3%に増加したと見られている。
調査は20年10~11月に米国の主な62の小売店を対象に実施。返品率が最も高かったのはカーアクセサリーや修理工具など自動車用品の19.4%で、アパレルの12.2%、家庭用品の11.5%がそれに続いた。なお返品全体の5.9%に当たる252億ドル(約2兆6208億円)が詐欺によるものだった。
20年はコロナ禍の影響でECの売り上げが大幅に伸びたことから、返品率も高くなっている。ECの売り上げは5650億ドル(約58兆7600億円)だったが、その18.1%に当たる1020億ドル(約10兆6080億円)相当が返品された。またその7.5%に当たる77億ドル(約8008億円)が詐欺によるものだった。
NRFのマーク・マシューズ(Mark Mathews)調査開発および業界分析担当バイス・プレジデントは、「ECでの売り上げが大幅に増加したため、返品率も前年の倍以上となった。一方で、返品手続きを消費者とのつながりを深める機会だと捉えている小売店も多い。顧客の買い物体験を向上させる、新たなタッチポイントとして活用できるからだ」と語った。
小売店やブランドにとって、返品を素早く処理し、シーズン内に再び販売できるようにすることは非常に重要だ。作業を行う人員を増やすことでスピードアップを図るケースがほとんどだが、最新のテクノロジーによってECでもサイズを的確に選べるようにして、返品そのものを減らすことに取り組む企業も増加している。