ポーラ・オルビス ホールディングスの「オルビス(ORBIS)」は今春、ブランド初となるパーソナライズスキンケアサービスを開始する。手のひらサイズの肌測定ができるIoTデバイス“スキンミラー”を用いて顧客自身が定期的に肌診断し、その結果に合わせて毎月商品を届ける定期販売モデルのサービスだ。価格や発売日などの詳細は今後、発表する。
同サービスは、2019年に発足した「2029PJ(2029年プロジェクト)」チームが担当。「ポーラ」が29年に創業100年を迎えることから、“10年後の未来を見据えて新たなサービスを生み出す”ことをミッションに立ち上がった。同チームは2021年1月から「新規事業開発グループ」として組織化し、経営戦略やマーケティング、商品企画、アプリ開発など、さまざまなバックグラウンドを持った4人で担当している。社長や役員の管轄下にあるチームで、「オルビス」ブランドの未来の新たな成長ドライバーをつくる存在として会社全体から期待がかかっている部署だという。
近年、アンケートに答えて“自分だけの”スキンケアが届くパーソナライズサービスや、デバイスを用いたスキンケアシステム、美容のサブスクサービスも多く誕生している。オルビスは今このタイミングでパーソナライズスキンケアを発売する理由について、プロジェクトメンバーの諸町実希氏は「トレンドだからではない。創業当時から掲げている理念を追求した結果、自然な決断だった」と振り返る。
“自分に合うスキンケアを自分で選びたい”というニーズに着目
30年以上スキンケア商品を届けているが、創業当初からうたっているのは、“一人一人の肌本来の力を引き出し、自然体であることが美しい”というメッセージ。「年齢に抗うのではなく、自分らしさを受け入れる“スマートエイジング”という考え方だ。『2029PJ』が発足したとき、まずは10年後も“その人らしさ”や"一人一人の肌本来の力”を引き出すためにわれわれができることは?を考えるところから始めた」と諸町氏。
そこで消費者調査を行ったところ、「自分で正しくスキンケアを頑張りたい」という声が多く挙がったという。「自分の肌をきちんと知って、自分で努力したい。言われたから、はやっているからではなく、自分に合ったものを自分で選びたい。その気持ちに応えるためにたどり着いた答えが、“肌を知ることからはじまるパーソナライズ”」。その思いから誕生した“スキンミラー”はカメラと水分チェッカーを搭載し、肌の水分バランスやキメ、皮脂量、毛穴の状態を計測する。洗面台の鏡に装着できる接着パッド付きで、手のひらに収まるコンパクトなサイズにもこだわった。「あくまでも主役はお客さま。これまでの習慣を邪魔せずに、いかに空間やライフスタイルになじむかは、開発において大きなポイントだった」。肌の診断結果は専用アプリにデータとしてログされ、変化の推移が簡単に見られる。これにより消費者が肌の状態をモニタリングできるだけでなく、オルビスにも貴重なデータとして残る。