※この記事は2020年10月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
オノマトペの魅力
言葉を生業とする人間ですから、「言葉にできない」なんてモノやコトは、あんまりないと思っています。でも「言葉より的確」な表現は、たくさんあります。
「オノマトペ」です。
どうやら私は、「オノマトペ」を多用する人間のようです。このお手紙でも頻繁に「ドキドキ」とか「ワクワク」「モヤモヤ」なんて擬声語を多用しているでしょう?言葉でメシを食う人間としては、未熟なのかもしれません。でもオノマトペを使うと、表現は人間味を帯びてきます。自分の気持ちを感情豊かに表現するために、そして皆さんにもっと近づくために、私はオノマトペに依存しがちなのでしょう。
先日、2021年春夏コレクションを発表したばかりのコシノヒロコ先生を訪ねました。相変わらずメチャクチャお元気で、今シーズンは、コレクションの着想源となった抽象画をバリバリ制作。ハキハキと、そしてウキウキしながら、来年開催予定の展覧会の話を始め、こちらは写真をパチパチ撮りました(笑)。
展覧会には、2000着に及ぶアーカイブから300着を厳選。それらをオノマトペに準じて並び替えるそうです。「フワフワ」のコーナーにはチュールやオーガンジーを使ったフワフワのワンピース、「キラキラ」のコーナーにはスパンコールがいっぱいのドレスが並ぶのでしょうか?下のリンクで紹介する21年春夏「ヒロココシノ」コレクションは、「ワクワク」とか「ユラユラ」なんてコーナーに並ぶのかな(笑)?そう考えるとヒロコ先生の洋服は、オノマトペで表現するのがピッタリ。情熱に素直だから、五感で感じたいコレクションなんです。ブルース・リーの言葉を借りれば、「Don’t think!! Feel!!(考えるな、感じろ!!)」ですね。
そんなことを考えていたら、今こそ、オノマトペをいっぱい使うってアリなんじゃないか?と思うようになってきました。「フワフワ」「キラキラ」「ツルツル」「すべすべ」「サラサラ」などなど、いまのムードにふさわしいオノマトペは、いっぱいあります。頭で考えるよりも心で感じたいし、海外もご無沙汰だから「南仏のリゾート地を思い浮かべて~」なんて言われてもピンときません(笑)。それだった「キラキラの太陽と、サラサラの砂浜。そこでキャッキャと遊んだり、スヤスヤとまどろんだりするときの洋服です!ウキウキするでしょう!」って言ってくれた方が共感できます。海外進出もしやすいんじゃないかな?
みなさん、普段の会話に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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