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CEO特集に見る「社長の服装の変化」 エディターズレター(2021年1月20日配信分)

※この記事は2021年01月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

CEO特集に見る「社長の服装の変化」

 ファッションにおける新常態で顕著なのは、ビジネススーツ離れです。この1年を振り返ると、私自身ビジネススーツを着る回数がめっきり減りました。在宅勤務が増えたことが一番の理由ですが、加えて取材先企業の方々もビジネススーツを着なくなったことも大きいです。これまでビジネススーツをビシッと着ていた企業幹部が、次々にジャケットやノータイ姿に宗旨替えしているので、私もドレスコードを少し緩めていいかなと思った次第です。

 アパレル業界なので他の業界に比べれば役員といえども服装の自由度は高かった。それでも老舗企業、特に上場企業の社長は仕立ての良いビジネススーツを着るケースが多かったようです。金融機関や取引先、あるいは株主などのステークホルダーに接する際のビジネスマナーだったのでしょう。ネクタイの選び方、締め方にもスキがなく、胸元のチーフ、袖のカフスボタンもキマっている。いわゆるエグゼクティブスタイルが主流でした。

 それがコロナでガラッと変わります。

 「WWDジャパン」の毎年恒例の企画「CEO特集」(1月25日発売)のため、年末に多くのアパレル企業の社長をインタビュー取材しました。毎年スーツとネクタイ姿だったオンワードホールディングスの保元道宣社長、アダストリアの福田三千男会長兼社長が共にジャケットスタイルだったのが印象的でした。ワールドは昨年の上山健二社長はビジネススーツでしたが、半年前に就任した鈴木信輝社長はゆったりとしたシルエットのカジュアルスーツでした。聞けば、保元社長も鈴木社長もネクタイを締める頻度が少なくなったと言います。

 今年のCEO特集でオーソドックスなビジネススーツ・スタイル(上下のそろいにネクタイ)の社長は19人中6人でした。これが多いのが少ないのか微妙ですが、バックナンバーを手繰って2012年のCEO特集を確認したところ、19人中14人でした。登場する企業の入れ替わりやトップの世代交代もあるので、一概には言えませんが、エグゼクティブのファッションもコロナ下で変化しているのは間違いなさそうです。

 長い間、ビジネススーツは信頼感や安心感の象徴と言われてきました。ですが、大手銀行でも脱スーツを進めるご時世で、そういった固定観念も変わりつつあります。スーツはビジネスのユニホームというよりも、万年筆のような嗜好品になっていくのかもしれません。

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