REPORT
70’sパンクにアイコニックにのせた永遠のミューズ
今季の「ドリス ヴァン ノッテン」のテーマは、その音楽からひもとくことができる。DJのキッド・コアラによるスクラッチを利かせた音源は、マリリン・モンローとサルバドール・ダリ、「セックス ピストルズ」のジョン・ライドンらの声を、B-52’sの独特の抑揚とリズムでミックスしたもの。インスピレーション源になった彼らに敬意を表しながら、ドリスならではの折衷主義でパンクロックとテーラード、ストリートなどのカルチャーをハイパーミックスした。
サスペンダーで吊ったハイウエストのワイドパンツや大きなピークドラペルスーツ、ピンクのレオパード柄のパナマシャツなど、パンクを色濃くのせたスタイルが続く。少し気取った反抗的な着こなしも、柔らかなシルエットと品で「ドリス」色のエレガンスを失わない。特に多用したのはマリリン・モンローをオマージュしたグラフィックだ。パパラッチに追われる彼女をセットアップにコラージュしたり、唇や目などマリリンを象徴するアイコニックなモチーフを抽出してニットに加えたり。B-52’sのデビュー曲「ロック ロブスター」から取ったグリッターカラーのロブスター、エルビス・プレスリーに着想したハワイのヤシの木など、モチーフミックスがコレクションを華やかに彩り、エモーショナルに訴えかけてくる。異なるカルチャーのシンボルを、意表を突く組み合わせでイージーなレイヤードにのせ、型にはまらない自由なスタイルを謳歌した。