ビューティ

“絶対セールをしない”化粧品ブランドが続々とアウトレットに出店 化粧品の廃棄ロスはどう減らす? エディターズレター(2020年11月27日配信分)

※この記事は2020年11月27日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

“絶対セールをしない”化粧品ブランドが続々とアウトレットに出店 化粧品の廃棄ロスはどう減らす?

 最近、ビューティブランドのアウトレット出店が目立ちます。コスメキッチンが御殿場アウトレットに出店を発表したほか、ロート製薬やロレアルはアスクルのロハコと提携し、小売店からの返品製品をアウトレット価格で販売しています。また以前からエスティ ローダーやロレアル、ボタニストもアウトレット業態をかかえ、プラザもアウトレット店でコスメを売っています。

 ようやく、ビューティブランドもアウトレットに前向きになった印象です。ご存知の通り化粧品は基本的にセールをしないスタンスを貫き通してきました。スキンケアなどの定番品が多い化粧品はシーズンごとに製品が全て入れ替わるわけではないため、“売り切り”という概念があまりなく、さらに値引きしてしまうと定価で売れないという懸念があるのは十分理解できます。ただ、ファッションと違って化粧品には消費期限があります。化粧品のほとんどは、未開封で3年の品質が確保されて設計されており(それを満たさない場合は消費期限を明記する必要がある)、店頭には消費期限まで1年を切った製品は返品・廃棄されることが多いそうです。

 先日ロート製薬の方を取材した際、「箱も中身も綺麗に保管されている完璧な製品が返品され、大量に処分されていく姿を見るのが、汗水流しながら作ったメーカーとして胸が痛む思いだった」とおっしゃっていたのが印象的でした。だから少しでも廃棄ロスをなくすために、返品された製品でも品質の安全が確保できるものは、ロハコのアウトレットに卸すことを決めたそうです。それを聞いた時、「素晴らしい!」と、心の底から思いました。

 ファッションは、某ラグジュアリーブランドが製品を大量に償却処分して炎上したり、一部のファストファッションブランドも問題になったりしますが、化粧品も大量に廃棄されていることにはなかなか注目が集まらないような気がします。なぜでしょう?また、食品の廃棄ロスがメディアでも何度も取り上げられ、大きな社会問題になっていますよね。食品まで消費期限は短くなくとも、“生モノ”であることには違いがありません。となると、化粧品も廃棄ロスは大きな問題だと思いませんか?

 アウトレットに出すとブランドイメージが下がる、定価で買ってくれなくなる、そんな心配もあるのは分かりますが、今の消費者はむしろ肯定的に捉えるのではないでしょうか?海外ではエスティ ローダーがノードストロムのオフプライス業態「ノーダストロム ラック」に製品を卸したり、多くのビューティブランドがオフプライスストアやアウトレットに出店しています。だからといって消費者はセフォラや百貨店で買わなくなっているわけではありません。定価で買う人は定価で買いますし、アウトレットに出したからイメージが崩れるとも思いません。これまで頑なに値引きをしない、アウトレットに出さないスタンスが多かった化粧品ブランドですが、少しでも廃棄ロスを減らせるならアウトレットへの進出はとてもポジティブなニュースなのではないでしょうか?

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