「推し活」の価値を考える
「推し、燃ゆ」読了。
最近ラジオなどをきっかけに「推し」のいる生活の豊かさに興味を抱くようになりました。一方芥川賞受賞作品では「自分ではコントロールできない『推し』」が炎上した時の自身への影響など、「推し活」の危うさ的なモノも学びました。「推し活」にますます興味深々です。
冒頭のラジオとは、ジェーン・スーの「生活は踊る(TBSラジオ)」と、そこから生まれたポッドキャストの「OVER THE SUN」です。特にポッドキャスト(私と同年代以上の女性には、強く強くオススメします)では、ジェーン・スーが自身の「推し活」と、その意義を赤裸々に語っていて面白い。「推し」の横顔を出力して、囁いてほしいセリフを付箋で貼り付けて悶絶なんて当たり前(笑)。でもそれで前向きになれるなら、「それもいいじゃん」って思いません?妄想で幸せになれるなら、安いモン。迷惑さえかけなければ、「推し」も喜んでくれるでしょう。
そんな「推し活」の頂点の1つは、「羽生結弦推し」だと思います。詳しくはNHKの「ねほりん ぱほりん」を見て欲しいのですが、妄想のレベルが高すぎる一方、国中が活躍を期待するアスリートの邪魔をしてはならないというファンとしてのプロ意識も素晴らしく、みんなが幸せ、誰も不幸せにならないエコシステムを築いています。レベルが高すぎる「推し活」の中で一番ウケたのは、羽生選手が目標と公言する4回転アクセルの成功を願い、新幹線に乗るときは「4A」の座席を選ぶというモノ!その発想が素晴らしいです。
こんな「推し活」という、非日常感も楽しめる幸せのループを、ファッション&ビューティ業界も手に入れられないか?と考えています。例えばビューティでは、下のリンク1本目で紹介する「1年366日の毎日にちなんだフレグランス」から「推し」の誕生日の香りを購入なんて購買行動があるのですが、羽生結弦よろしくの頂点は時計の世界にありそうです。
コアな時計ファンには「推しの一本(一本どころか複数本)」があって、それを語るだけでゴハンが3杯は食べられる。時計とは、そんな世界でもあります。特に高額時計は、購入時に豪華なボックスから時計を取り出す行為が儀式化しているフシがあり、時々SNSのタイムラインに流れてきます。それは「推し」の横顔を出力して好きなセリフを言わせちゃう「推し活」に近い、愛ゆえの行為ですよね?リンク2本目の動画に登場する「ホディンキー・ジャパン」の和田さんは、時計をカメラでキレイに撮影という「推し活」たのしんでいますが、探せばもっともっと妄想チックな「推し活」はたくさん存在しそうです。
これをまとめたら、面白いし、ファッションやビューティが生活を豊かにすることが啓蒙できるし、いろんな楽しみ方をして良いんだという多様性の表現にもなるのではないか?結構真剣に、そんなことを考えています。
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