ファッション

アパレル19社のトップが語った「2040年のビジョン」 そこから読み解く伸びる企業、沈む企業

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 「WWDジャパン」1月25日号では、毎年恒例の「CEO特集」として、ファッション企業19社(ビューティ企業は28社)のトップインタビューを掲載している。例年の同特集と異なる点は、「20年後のビジョン」を全社共通の取材テーマとして掲げた点だ。このウェブ記事では、19社トップのインタビューから「20年後のビジョン」の部分を抜粋して紹介する。(この記事はWWDジャパン2021年1月25日号からの抜粋に加筆しています)

 各社の話に入る前に、概論を述べておきたい。「20年後の自社のビジョン」という質問に対し、ファッション企業の少なくない数のトップの口から出たのが、「20年後なんて遠過ぎて、とてもイメージできない」という言葉だった。コロナ禍だけでなく、予期できない自然災害が急増、業界状況は激変という中にあっては、そう言いたくなるのも無理はないだろう。

 ただ、誤解しないでほしいのは、われわれが20年後のビジョンを尋ねたのは、文字通り20年後にどんな市場に対してどんな商品・サービスを提供しているのかを具体的に聞きたかったからではない(もちろん、それを教えてもらえるのなら大歓迎だが)。未来なんて誰にも分からないからこそ、変化の中で「企業として20年後も世の中に伝え続けていくことは何か」「今後も大切にしていく強みや価値は何か」をあらためて問うというのが、質問の真意だった。

 そんなやや抽象的なことをなぜ聞いたのかというと、世の中が企業に対して求めるものが変化していると思うからだ。「買い物は共感する企業に対する投票」という考え方がじわじわ強まっている。昨年、米欧を中心に激化したBLM(BLACK LIVES MATTER)運動でさまざまな企業が人種差別的であると批判を受けたことは記憶に新しいし、国内でもSNSを中心に、企業広告が炎上する事例がいくつかあった。消費者は企業の姿勢やメッセージを評価するようになっており、長い目で見ればそれが業績も左右する。コロナが後押しする形でファッション企業に一気に広がったサステナビリティ意識も、消費者に共感される企業であるために姿勢を示すという側面は大きい。

 商品やサービスそのものに加えて、今後はそれを提供している企業がどんなメッセージや姿勢を持っているかが、これまで以上に精査される時代になる。同質化が叫ばれるファッション業界においては、もしかしたら商品そのものよりもメッセージの方が重視されるようになるかもしれない。こうした企業としてのメッセージ発信の仕方は、ファッションと比べてよりプロダクトに近く、広告宣伝に対しても一般的にファッション企業より力を入れているビューティ企業の方が長けている面もある。そういう視点で、1月25日号に含まれるビューティ企業のトップインタビューを読んでいただくのも面白いと思う。

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