「グッチ(GUCCI)」はこのほど、新たな環境戦略を発表した。これまで取り組みを進めてきたカーボンニュートラルに加えて、森林やマングローブ林の保護と再生、自社サプライチェーンにおける環境再生型農業に投資し、さらに自然環境にポジティブな変化を生み出すことを目指す。
「グッチ」は2018年以降、自社の事業活動とサプライチェーン全体においてカーボンニュートラルを実現してきた。今回発表した環境戦略はこれまでの取り組みを発展させたもので、温室効果ガスの排出の回避と削減は引き続き優先させながら、同時に生物多様性の保護と気候変動対策を目的に、サプライチェーン全体の改革を推進する。
マングローブ林は一般的な森の最大約10倍の炭素を蓄えることができるが、世界のマングローブ林の30〜50%がすでに失われ、毎年2%ずつ削減し続けている。「グッチ」はホンデュラスの森林保全プロジェクト「モスキティア ブルー カーボンREDD+プロジェクト」に資金提供を行ない、これにより約5000haにおよぶマングローブ林と28万5000ha以上の森林が伐採から保護される。
同戦略のもう一つの柱となる環境再生型農業に向けた取り組みは、国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナル(CONSERVATION INTERNATIONAL)、サウスポール(SOUTH POLE)、ネイティブ(NATIVE)と共同で、環境再生型農業プロジェクトの実行可能地域の特定と規模拡大を目的とした調査を進行し、グッチ製品に再生可能な原材料を供給することを目指す。また、サプライチェーンだけでなく、生産者に対しても環境再生型農業に切り替えるよう奨励している。そのほかにも再生可能エネルギーへの切り替えやサステナブルな原料調達、循環型ビジネスモデルの推進などにも取り組む。
マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzari)=グッチ社長兼最高経営責任者は「新たな『環境戦略ポートフォリオ』は科学に基づき、気候変動を緩和する重要な生態系を保護および再生することで、生物多様性と気候を将来にわたって持続可能にするものだ。私たちは、自然を気候変動の犠牲者から気候に変化をもたらす原動力へと変えるための具体的な活動とシステムを広めることが、地球温暖化へのソリューションのひとつになると考える。この方法は、最終的に私たちの地球の未来を救うことになるだろう」とコメントした。