ビューティ

「ラ ブーシュ ルージュ」が世界初の100%再生可能ガラスのマスカラを発売 ゼロプラスチックを徹底する理由

 フランス発のラグジュアリークリーンビューティブランド「ラ ブーシュ ルージュ(LA BOUCHE ROUGE)」は2019年11月に日本上陸し、レフィル対応のリップスティックを発売した。昨年末にはマスカラやアイシャドウなどのカラーメイクアップを日本でもデビューさせ、順調にアイテムを拡充させている。今年は新たに中国、韓国、中東、メキシコ、チリ、オランダ、オーストラリアにも進出予定で、さらなるグローバル展開を目指す。

 そんな「ラ ブーシュ ルージュ」のニコラス・ジェルリエ(Nicolas Gerlier)創業者兼クリエイティブ・ディレクターに、新作のカラーメイクや、ブランドの根元にあるサステナビリティについて聞いた。

WWD:リップスティックを(グローバルで)発売してから約4年経って、待望のカラーメイクをローンチした。

ニコラス・ジェルリエ創業者兼クリエイティブ・ディレクター(以下、ジェルリエ):カラーメイクは10年前から構想をしていたもので、本当にたくさんのこだわりを詰めている。リップスティックを完璧にしてからほかのカラーメイクを出したかったので、これだけ時間がかかった。今回発売したカラーメイクもリップスティック同様のクオリティーを追求しているんだ。目の周りにつけるものだからこそ、シリコーンやパラベン、石油由来成分、プラスチックを一切使用しないことを徹底した。

WWD:今回もゼロプラスチックにこだわっている。

ジェルリエ:もちろん。ビューティ業界は車、ファッションについで3番目に環境汚染を生み出す産業。さらに1950年以降に産出されたプラスチックのうち、わずか9%しかリサイクルされていない。残りのプラスチックのうち10%が焼却され、80%は“行方不明”なんだ。つまり、海や山など自然に捨てられたり、埋め立てられている。「70年分のプラスチックのうち9%しかリサイクルされていない」、この数字が衝撃的だった。許されないだろう?だから「プラスチックの量を減らす」くらいではダメなんだ。リサイクルプラスチックも環境負荷がかかるし、やっぱり使わないことが一番だと思う。だからゼロプラチックは処方だけでなく、生産・流通・販売過程全てにおいて徹底している。

WWD:今回のラインアップでも注目は、世界初の100%リサイクル可能なガラスパッケージのマスカラ。

ジェルリエ:最も長く開発期間を要したプロダクトだったよ。ガラスにこだわった理由はいくつかあるが、まずは(フランスのブランドとして)フランスの伝統技術の一つであるガラス細工を用いたかったことが大きい。フランス政府から「Entreprise du Patrimoine Vivant(無形文化財を継承する団体)」の認定を受けた職人達により、100年以上の歴史を誇る伝統的なガラス工芸の手法でボトルを制作している。そして真に美しくありながら100%リサイクル可能なパッケージを追求した結果、ガラスにたどり着いた。100%ガラスなので使い終わったらそのまま瓶ゴミに捨てられるんだ。またブラシはトウゴマの繊維を採用し、これも世界で初めてマイクロプラスチックを使用していないものだ。まつ毛に長さと厚みを与えながらも、ダマを作らないように設計している。さらに容器の口に取り付けられたリングも従来のプラスチックではなくバイオ素材を用い、キャップも半永久的にリサイクル可能な金属で作っている。今アイブロウアイテムも準備中だが、レザーケースはマスカラと同じものを使い回せるようにしているんだ。だから1回ケースを購入してしまえば、レフィルはほかの百貨店ブランドと同等の価格だ。「高いからサステナブルを選ばない」という言い訳はもうできないだろう?

WWD:製品のカラーはどのように作っているのか?

ジェルリエ:社内のカラーリストと一緒に色を作っているが、実は日本に旅した時にインスパイアされた色もあって。とある撮影で出会ったモデルが赤いアイシャドウをつけていて、それがとてもシックで印象的だったんだ。そんな彼女をイメージしたアイシャドウパレットがあったり、アメリカの友人をイメージしたアイテムもあったり。日本人女性には特にハイライトとアイシャドウがオススメだ。ハイライトは“光のタッチ”と呼んでいるが、肌の内側から発光するような上品な艶を与える。美容成分もたくさん配合し、スキンケアのようなハイライトだと思う。アイシャドウも柔らかな質感でシックな目元を簡単に演出できる。

WWD:日本に上陸して1年強。昨年は新型コロナウイルスでリップメイクは苦戦した年だったが、ビジネスは。

ジェルリエ:確かにメイクアップ市場は大きな打撃を受けたと思う。ただ「ラ ブーシュ ルージュ」はそんな逆風にも耐えながら成長をし続けている。今年は中国、韓国、中東、メキシコ、ブラジル、チリ、オランダ、オーストラリアに進出するくらいだよ。新型コロナは、すでに病気を患っている方や高齢者を一番大きく影響している。ビジネスも一緒で、すでに弱まっている企業や古いビジネスモデルを持つ企業ほど、ダメージが大きい。新たな価値を提供し、次の世代を考えたビジネスこそ生き残ると信じている。「ラ ブーシュ ルージュ」はまさにそんなスピリットを持っていて、だからここまで成長できているのだと思う。

WWD:次に手掛けたい製品は?

ジェルリエ:ファンデーションかな。従来のパウダリーファンデーションには大量のタルクとシリコーン、石油由来成分などが配合されている。顔全体に塗り、ある意味“第2の肌”となるものだから、もっとクリーンな処方を今研究開発している。ただ処方がとても難しく、完璧なものが出来上がるまで世に出せないのでもう少し時間がかかりそうだ。あとはこれからジュエリーブランドと、韓国ブランドとのコラボも控えている。まだ詳細は明かせないが、かなりエキサイティングなプロジェクトになるはず!

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