春はピンク。毎年、化粧品メーカーから発表される春のコレクションはピンクに染まる。ペールトーンなど柔らかい色調も多く、今シーズンはラベンダーカラーが多数見られるのが特徴だ。そんな潮流の中、ひときわ目を引く色がある。「赤」だ。広辞苑第7版(岩波書店)を引くと、赤は七色の一つ。血のような色。また、緋色・紅色・朱色・茶色などの総称とある。血、生命の色だ。美容の視点から赤という色を考えてみると、多くの人がまず連想するのは口紅だろう。口紅は「尻を赤くして異性を誘惑する猿」が起源という説があるそうだ。感情を大きく揺さぶり、心をも潤す色だ。
赤という色をキーカラーの一つとする「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」と「ジバンシイ(GIVENCHY)」は限定品の新作を発表した。菅原里子シュウ ウエムラ PRマネージャーは「ブランド創設時より受け継がれてきたキーカラーの一つであり、メイクアップアーティストブランドとしてアーティストリーの象徴であり、不動の強さを備えるものとして捉えてきた」と話す。一方、2020年12月15日にどうからデビューしたウエルネスブランド「どう(dō)」は、美しい赤のパッケージが印象的だ。「赤はコンセプトである東洋を象徴する色。そして原料に使用している漢方生薬や、ブランドを展開する上で大切にしている古より続く伝統を彷彿させる色でもある」と、どうの松尾美里ファウンダーは述べた。新しい生活に入り、一年が過ぎようとしている今、強いエネルギーを孕む命の色「赤」に注目したい。
パッケージを印象付ける“赤”の力強さ
「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」
意外性のある香りを提案。希少で貴重な香料を世界中から集めることに始まるコロン インテンス コレクション シリーズに新作が登場した。その香りに用いられたのは、アジアの大草原地帯に生い茂る、エキゾチックで大きなスカーレット ポピー。しなやかに葉を広げ、たまゆらに咲く小さな赤い花が気品のあるフローラル ノートを支える。ブランド史上初めて、鮮やかな深紅をパッケージに纏わせた。「ポピーの花のまるで鮮やかな彫刻のような様子からヒントを得た。彩光を放つ贅沢な宝石のようなこのボトルは、どんな環境でも輝きを放ち、誰もが目を奪われることだろう」(ワンジーナ・クリエイティブディレクター)。香りに深みを与えるアイリスに溶け出すバーリーとトンカビーン。甘やかでみずみずしく広がる、センシュアルなシャワー。“スカーレット ポピー コロン インテンス”(50ml、1万5600円 100mL、2万2600円)
「どう(dō)」
養生文化に着目し、健やかな美しさを目指して誕生したウエルネスケアブランド、「どう」。ネイリストとして活動した中で生まれた“健康な爪に重要なのは、心身のバランス”との考えを形にした。オブジェのように美しいパッケージを赤が彩る。「赤には真実の心といった意味を持つ。またエネルギーを与え、しっかりと地に足をつける手助けをする性質がある色でもある。めまぐるしい時代の流れになびかざるをえない現代人に、根を張るような軸の強さを持たせてくれるのではないか」(松尾美里ファウンダー)。ビタミンやミネラルの豊富なコメヌカ油や椿油の、長く親しまれてきた2種のオイルを配合。2種ある香りは、ドイツはベルリンで活動する日本人調香師のRYOKOが手がけた。古より伝わる叡智が生きる有機的なアコードだ。“ネイル&キューティクルオイル・瀉 sha”、“同 補 ho”(各30mL、各5280円)
「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」
燃え盛る炎を見るような、躍動的なオキシファイア。情熱にも似たパワフルさを感じさせるコレクションが登場した。「大胆なパッケージは、メタルが熔ける流動的なモーメントにインスパイアされたデザインであり、まるで秘めた強さを解き放つかのよう。リップメイクがもたらす楽しさとパワーを改めて感じて欲しい」(菅原里子PRマネージャー)。レッドにオレンジ、ラスティブラウンなどのカラーをラインアップする。「アイコンカラーの一つで、誰もが似合う赤“RD 163”を発表して以来、トレンドを加味した多様な赤を発信してきた。新しいコレクションは、めまぐるしい変化が起こる生活の中で、誰もが内側に潜めている強さを信じ、自分らしくいるためのメッセージを込めた」“ルージュ アンリミテッド アイアン レッド コレクション”(全12色・限定9色、既存3色、各3300円)※数量限定発売
唇、頬、目もとの“赤”が表情を鮮やかに描き出す
「ジバンシイ(GIVENCHY)」
新しい一年の始まりを祝い「ジバンシイ」が毎年発売するルナ ニュー イヤー エディション。ゴールドのパールが煌めくマーブル・シェードのルージュは、唇に乗せることで2色が混ざり合いながらオレンジレッドに変化。唇のフォルムをも計算してクリエイトされたルージュを華やかな赤いパッケージで包み込んだ。「メゾンにとってアイコニックなカラーのひとつが赤。“ルージュ・ジバンシイNo.888”のマーブルのテクスチュアに使用した赤の色は、ブランドの代名詞のような存在のリップスティックのアイコニックシェード“ルージュ・ジバンシイ No.333ランテルディ”」(佐藤香恵PRマネージャー)。発売前から多くの注目を集め、SNSなどでも反響があったという。“ルージュ·ジバンシイ ルナ ニュー イヤー エディション No.888”(5100円)※数量限定発売
「アディクション(ADDICTION)」
春先の、まだ少しキンと冷える朝にガーデンを歩き、深呼吸するような情景を思い描いて作られたコレクション。チークは「冷たい空気に自然と頬が染まる。そんな“ナチュラルさ”を再現。まるで生まれつきのような血色感を与えるクリアな発色にこだわって生まれた赤になっている」(内山奈穂ADDICTION PR)。今シーズンのコレクションには、リップカラーの“リップ オイル プランパー”の006、007の2色もレッドを名に付したアイテムもあり、まるでキャンディードロップのように、クリアでみずみずしく仕上げる。「一人一人異なる唇本来の色を生かしながら、ニュアンスチェンジを楽しんでもらえるクリアな赤。より自然体の自分を好きになって欲しいという思いのもとに誕生した」。“アディクション チーク ティント 003”(2800円)
「トーン(TO/ONE)」
赤にある情熱のようなものとは異なる色を新作のマスカラに付与。「やわらかな灯のように心の緊張を和らげる、女性らしいレッドを目指した。例えば、どんな色にも白を混ぜるとほんのり強さを打ち消し柔らかくなるように、少しだけ白を差し入れ柔らかく溶け込むようなまろやかなレッド」(津覇雅実TO/ONE PR)。既存のマスカラのブラシとは異なる形状を採用することで、細部の短いまつげを残さずキャッチして美しいセパレートロングを実現した。マスクをつけるのが日常となった今「お客さまから『03のメロウレッドは、肌とけこむような色が派手になりすぎず使いやすい』との声が多い」という。“トーン ロング ラッシュ マスカラ(SL) 03”(7g、2800円)