※この記事は2020年11月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
SDGsは、ルールがなくてゴールだけ
「SDGsって、いいなぁ」と思うのは、「ゴールはあるけど、ルールはない」からです。17の目標も、169のターゲットも、ぜ~んぶゴールで、ノールール。「達成の方法は、イロイロあると思います。でも、どんな人も目標やターゲットには共感するでしょう?だから自分らしく、頑張りましょう!」というメッセージだと解釈できると、重たい腰もちょっぴり軽くなります。
なのに企業やブランド、組合がSDGsやサステナブルを目指すために策定するガイドラインは、時にルールでガンジガラメです。「ゴールはあるけど、ルールはない」は意図的な設計であろうSDGsの思いを汲み取っていません。ルールを設けると、人は往々にしてルール通りにしか動きません。そしてそのうち、ルールの順守をゴールにします。「ルール、守ってますよ。ワタシ」、そう思い込んでしまうものです。ルールは元来ゴールに到達するためのモノなのに、それがゴールになっちゃうってのは何か違うんじゃないのか?サステナブルやSDGsと向き合うときに抱きがちな「モヤッと」した気持ちは、そんな「目的」と「手段」を履き違えたり、見誤ったりしている瞬間を目の当たりにしたからではないでしょうか?
ワタシなんかは、そもそもルールがあんまり好きじゃありません(苦笑。すいませんw)。ルールって決めれば決めるほど機械的になるし、組織は小ぢんまりとしてくるし、正直、いいコトなんてほとんどないと思っています。コンテンツをサイトにアップする際のルールの導入には、とても慎重です。ちょっと時間をいただき、「このルールが、自発性を奪うことはないか?」を考えます。
もう一つぶっ込みますと、ルールを決める側って、だいたい“古い側”ですよねぇ(笑)。「そりゃ、変わらんわ」って思いませんか?「『変わらない』人が、『変えられる』人に課すルールって、マジで一体なんなワケ?」が本音であります。
「ルールがないなんて、組織としてまとまるの!?」と思う人はいるでしょう。だからゴールが大事なんです。ゴールさえみんなでシェアできていれば、ビミョーな誤差はあるかもしれないけれど、みんな同じ方向を見るんです。モチベーションの高い人間は、優秀です。多分誤差は、最大60度。そのくらいはむしろ、多様性の象徴だと思って許容したいですね。
ルールを守りながら生きてきた、ルールを守るコトでどこか安心してきた私たちにとって、SDGsは、新たな前の進み方です。せめて今回くらいは、古臭いルールに縛られず、誰かが提示してくれることも期待せず、自分らしく、ブランドらしく、企業らしく、業界らしい達成の方法を自発的に考えたいですね。
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