百貨店主要5社の2021年1月度業績は、前年同月と比較しておしなべて2〜3割の減収だった。主な減収要因は、1月8日に再発令された緊急事態宣言。加えてクリアランスセールの12月への前倒し、福袋販売の店頭販売中止・縮小など、年初の集客誘因が乏しかったことも影響した。
各社の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が33.2%減、高島屋が29.5%減、大丸松坂屋百貨店が34.6%減、そごう・西武が26.3%減、阪急阪神百貨店が29.6%減だった。各社の前年同月と比較した売上高は、この間(20年10月〜12月度)1〜2割の減収幅に止まるなど回復傾向が見られていたものの、再び落ち込む形になった。
都心店を中心にこの間の傾向だった、富裕層の高額品消費が支える構図は変わっていない。
大丸松坂屋百貨店はラグジュアリーブランドや高級時計が前年同月比2ケタ増。「例年であれば行けていたはずの海外旅行の代替としての消費として、高額品が求められている。ライフスタイルをより充実させるための高級寝具や高級食器などもよく動いた」(同社広報)。三越伊勢丹も特選のハンドバッグや婦人靴、アクセサリーなどで前年同月を超えた。そごう・西武の高級雑貨カテゴリーも前年同月並みを確保した。
それと比較して、ボリュームゾーンの衣料品は落ち込みの幅が大きい。婦人服カテゴリーは三越伊勢丹が両本店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店)で前年同月比4割減、高島屋が同55%減、大丸松坂屋百貨店が同56%減だった。「全体的に厳しい傾向だが、リモートワークを意識した軽めのブルゾンなどは堅調」(高島屋広報)。
2日には政府が、10都府県での緊急事態宣言の1カ月延長を正式決定する見込み。「(宣言発令時と比較した)感染者の減少傾向などで来店客数は日を追うごとに改善傾向にはある」(高島屋広報)との声も上がるものの、当該地域における店舗の時短営業は、各社とも当面の間継続する姿勢だ。