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ユニクロが年次サステナビリティレポートを刷新 消費者へ発信、ジャック・アタリ氏との対談も

 「ユニクロ(UNIQLO)」などを運営するファーストリテイリングは、毎年発行しているサステナビリティレポートの2021年版を発表した。従来はアナリストや株主、報道関係者に向けて発行していたが、コロナ禍以降世の中でサステナビリティ意識が高まっていることを受けて、今回からは一般消費者も読者として意識した作りに刷新した。巻頭特集では柳井正会長兼社長と、欧州統合などにも尽力したフランスの経済学者・思想家で“ヨーロッパの知性”とも評されるジャック・アタリ(Jacques Attali)氏との対談を掲載している。

 「企業としての決意を広く世界に発信するために、レポートを大幅刷新した」と、新レポートの発表会見で柳井会長はコメント。「現在、地球上で起きているさまざまな問題は、一国レベルで解決できるものではない。国を超えて、全世界の人がポジティブにこれらを自分の問題として捉える必要がある。同時に世界の歴史を知り、目先の利益だけに捕らわれず、考えて行動していく。世界とつながっているのに、つながっていないふりをしている企業や個人が多いことは非常に残念だ。このままでは地球環境は今の世代で終わる」「そうならないためには、全世界の人や企業が人類全体のことを考え、環境や経済活動がどうあるべきかを真剣に考えていくべきだ」と話した。

 具体的に企業として何を行っていくのかという問いには、「地球への負荷を少なくしていくうえで最も大切なことは、気に入った服を長く愛用すること。そういった活動をファッション・繊維・小売産業と一緒にやっていきたい」とコメント。売り上げ拡大といった業績目標とサステナビリティ推進が両立するかといった主旨の質問には「経済活動である以上業績目標は必要だ。あれかこれか、どちらか二択という問題ではない。それだけの規模の経済活動をするからこそ、地球環境を大切にすることが大切」と語った。

会見で発表した同社の主な2021年サステナビリティ重点領域

・2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすることを掲げるパリ協定に基づき、今年中にサプライチェーンも含めた温室効果ガスの長期の削減目標や行動プランを策定し、発表する

・各国のオフィスや店舗を再生可能エネルギーに順次切り替える(欧州60店舗では昨年末までに切り替え済み)

・災害発生時の衣料品支援だけでなく、災害への備えとしてデジタルを活用した支援取り組みを進化させる

・循環型の商品開発を推進する“RE.UNIQLO”プロジェクトを加速。昨年1型を発売したリサイクルダウンはアイテム拡充、ダウン以外の商品も循環化へ

・市場に不足していたマスク、乳がん術後者などに向けた前開きインナーなどに続く、お客さまの声からの商品開発

・22年3月を目途にグループの全縫製工場を公開(従来は主要工場を公開)、素材工場についてもグループの主要工場を公開

・引き続き積極的なESG情報開示

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