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不幸なニュースとの向き合い方 エディターズレター(2020年11月2日配信分)

※この記事は2020年11月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editor's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

不幸なニュースとの向き合い方

 「破たん」「閉店・撤退」「リストラ」「希望退職」なんて文字が踊るニュースは、「WWDJAPAN.com」でも抜群の数字を叩き出します。一般メディアなら「死去」「逮捕」「不倫」なんて言葉が、それに当たるでしょうか?確かに私もクリックしたくなる衝動に駆られるのでエラそうなコトは言えませんが、時々「なんだかなぁ」と切ない気持ちになるのは事実です。

 同業他社では「ファッションプレス」が、コロナを含むネガティブなニュースは一切掲載せず、全編ポジティブなニュースばかりでサイトを構成しています。私たちは「建設的批判」や「失敗からの成功」を信じているので相入れることはありませんが、「敵ながら、あっぱれ!!」とも思います(敵なのかw?)。信念を感じますね。

 ネガティブなニュースは、咀嚼の仕方が大事だと思っています。伝える側も、受け取る側も「どうして、こうなってしまったのか?」や「再発を防ぐには?」というスタンス、視点を忘れてはなりません。コレは新聞記者時代、先輩から散々聞かされました。あの時は100%理解していませんでしたが、今は、当時よりずっと共感できるようになっています。書くときは記事に、読むときは自分のコンテクストに「原因究明」や「再発防止」という視点を、極力盛り込みたいと心掛けています。読むときも、「原因究明」や「再発防止」を考えること、大事ですよね?じゃないと「明日は我が身」になっちゃうし、不幸なニュースを「消費」し続けるだけのイヤなヤツになっちゃいますから。

 加えて媒体としては、上述した「抜群の数字」に踊らされるな、と強く強く思っています。10万PVを記録するのは、「記者の力量」よりむしろ、ただ、「それがネガティブなニュース」だから。そう捉えて心にとどめ続けなくちゃと思うし、さらなる数字を狙ってネガティブを煽るなんて言語道断です。煽った瞬間、ありがちなまとめサイトや低俗なプリントメディアに転落してしまいます。こうしたメディアが好きになれないのは、「ほらアナタ、こんなニュース好きでしょう?」と“タカをくくられている”気がするから。結局、ユーザーをナメているような気がして、本当にユーザーを思っているのか分からなくなってきたのです。

 同じことは、SNSでも言えるのですよね。リンク1本目の記事の通り、どうも最近「Twitterでバズることを狙った文言」が気になりだして。“タカをくくっている”ようなツイートが気になり始めているのですが、よくよく見ると、そんな投稿のインプレッションは総じて低そう。ユーザーの皆さんは、敏感です。リンク2本目の以前のお手紙の通り、“タカをくくられる”ことに対して、今の消費者は敏感です。改めて飾らず、誠実に、想いを込めて。先月末、ネガティブなニュースのパフォーマンスの高さと、「Twitter映え」を思わせる投稿を見て、そんなことを考えたのでした。

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