ナイキ(NIKE)は2月26日、ブランド初の環境配慮型パフォーマンスシューズ“ナイキ コズミック ユニティー”を発売する。価格は1万8150円。これまで性能が重視される競技用の製品はスペックの落ちるリサイクル素材の使用や設計の省エネ化などが難しかったが、さまざまな工夫を凝らすことで、性能を維持しつつ、重量換算で少なくとも25%以上リサイクル素材を用いるなど地球への影響を最小限に抑えた。
“ナイキ コズミック ユニティー”はバスケットボール競技向けのシューズで、ナイキのサステナビリティ戦略“MOVE TO ZERO(CO2と廃棄物の排出量ゼロを目指す取り組み)”の理念が取り入れられている。足底部材や履き口の裏地や中敷き、表面の素材、シュータン、シューレースの一部にリサイクル素材を配合し、足底部材のつなぎに用いる素材は不要にした。
ロス・クライン(Ross Klein)パフォーマンス フットウエア シニア クリエイティブ ディレクターは「『世界をよりよくするプロダクトが同時にアスリートをよりよくできないか』を考えはじめ、結果的に、パフォーマンス、環境、そしてバスケットボールの世界におけるフットウエアのあり方を再定義することになった。なぜ、バスケットボールだったか?――バスケットボールは人々を一つにまとめる力があるから。公園でプレーしている人から、様々な地域でプレーしている人、性別も違えば、レベルもプレースタイルも違う、そうしたアスリートを一つにすることができる。“コズミック ユニティー”はアスリートのパフォーマンスを最大化し、地球への影響を最小限に抑え、最終的には人間の可能性を最大限に引き出すことで、パフォーマンスを向上させるための全く新しいソリューションだ」という。
重要な特徴は2つある。1つ目のアッパーにはリサイクル可能なケーブル糸を用い、編み目のような構造にすることで、前足部の動きに対応しながらサポート性を提供する。加えて、廃棄物の削減、部位ごとのフィット調整、前足部とシューズの一体感の向上、通気性を実現した。2つ目は、フットウエアの中で最も重い部品のゴムの革新で、靴全体の重量を減らすことができた。
また、これまでライフスタイル向け製品にのみ用いられていたナイキ独自のミッドソール“ナイキ クレーター フォーム”もこのために改良した。“ナイキ クレーター フォーム”は通常軽量で柔らかい素材だが、バスケットボール競技向けには、サポート性と反発性を高めるために、より固めのクレーターフォームを作る必要があったという。そのため、クレーターフォームに10%程度用いる “ナイキ グラインド ラバー(生産工程で出る廃棄物を再利用した素材)”はこれまでとは異なる成形方法でより圧縮した新たな素材を作った。