イタリア・ベネチアを本拠とするアパレル企業スローウエア(SLOWEAR) は、パンツブランド「インコテックス(INCOTEX)」など4ブランドのメンズウエアの独占輸入販売契約を伊藤忠商事と締結したのに続き、ウィメンズウエアの国内販売は本社100%出資のスローウエアジャパンがアマンと受注代行を契約した。
スローウエアジャパンは今後、イタリア本社の日本の窓口としてブランドコントロールを担うほか、ウィメンズウエアについてはアマンと協力しながら売り上げ拡大を目指す。鈴木雄一朗スローウエアジャパン社長は、アマンのショールームで2月中に行われている2021-22年秋冬物展示会で商談に訪れるバイヤーの対応にあたっている。
「イタリア本社のビジネス戦略は、コロナの影響も手伝って、ここ数年の小売り強化が加速しており、世界の主要な市場でエージェント契約が進んでいる。ウィメンズはこれまで通りスローウエアジャパンが販売するという選択肢もあったが、イタリア本社の意向で次代への発展のため新しい方法を選んだ。アマンはウィメンズの販売に強く、藤井雅彦社長以下、スタッフの皆さんと以前から面識があったことから、私の意向で安心してお願いした」と鈴木社長。アマンが手掛ける18ブランド中、13ブランドがウィメンズだ。
スローウエアの現在の売り上げは約80%がメンズだが、ウィメンズにも力を入れ始めており、昨年ミラノの百貨店リナシェンテにウィメンズ単独のコーナーを初めて出店した。ウィメンズはこれまで国内は日本製のライセンス商品が販売されていたが、21-22年秋冬物からメンズ同様にヨーロッパ生産に一本化された。「ウィメンズは、高いポテンシャルがある。スローウエアにとって、日本はイタリアに次いで売り上げが高い市場だ。『インコテックス』をはじめ、ニットの『ザノーネ(ZANONE)』、ジャケットの『モンテドーロ(MONTEDORO)』、シャツの『グランシャツ(GLANSHIRT)』のトータルな世界観を打ち出し、アマンと協力して新規店を開拓したい」と意欲を見せた。アマンの池田篤紀・常務取締役本部長は「カジュアルでライトに着こなすイタリアのウィメンズブランドは、高い販売実績を持つ当社の得意分野だ。スローウエアジャパンとの相乗効果を期待したい」と話した。現在、ウィメンズの卸先はフィーゴ、ユナイテッドアローズ、ビームス、エストネーション、バーニーズ ニューヨーク、ベイクルーズなど約50店舗。コロナの影響が見通せないため、ウィメンズの売り上げ目標は未定としている。スローウエアジャパンは東京・丸の内の路面店、東京ミッドタウン(六本木)のイセタンサローネ、大丸神戸店、福岡の岩田屋本店の4店舗を運営し、社員数は店舗スタッフを含めて17人。
メンズを手掛ける伊藤忠商事の子会社のコロネットは、表参道にスローウエアのショールームを開設するなどビジネス体制の整備を進めている。