※この記事は2020年11月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editor's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
バイデン氏の勝利演説と、脇を固める2人の衣装
前回のお手紙でウソをつきました。いや、正確に言えば「思い出せなかった」のです(苦笑)。申し訳ありません。「共和党支持を公言する人に出会ったことがない」は、誤りでした。その昔、「オスカー デ ラレンタ」のショー会場でお会いしたことがあります。アメリカのファッション界には民主党支持者が多いと思いがちですが、「オスカー デ ラ レンタ」や「キャロリーナ へレラ」のお客さまには共和党支持者が多い印象で、ファッションショーのゲストはビミョーに異なります。
そんな「オスカー デ ラ レンタ」や「キャロリーナ へレラ」のワンピースやパンツスーツを着て、ジョー・バイデン前副大統領夫人やカマラ・ハリス上院議員が勝利演説に登場したのを見て、「さすが~」と唸りました。「私は、分断するのではなく団結させる大統領になると誓います。赤い州と青い州を見るのではなく、団結した州(合衆国)を見る大統領に(中略)。豊かな心としっかりした手で、アメリカとお互いを信じ、国を愛し、正義を渇望しながら、自分たちがなれると分かっている、そういう国になりましょう。結束した国、力強い国、癒やされた国に」と演説する民主党大統領候補のバイデン氏の両脇に、共和党支持層にも愛される「オスカー デ ラ レンタ」と「キャロリーナ へレラ」の2人。言動がシンクロしています。見事な戦略であり、素晴らしい機微です。
話は大きく変わりますが先日、「オーシャントーキョー」の高木琢也代表とトークライブをさせていただきました。ヘア業界の風雲児に「イノベーションを起こすために必要なマインドセットは?」と聞くと、「嫌いなヤツの良いところを見つけ、学ぶこと」と言います。なるほど。「嫌いなヤツ」って、自分とは違うから「嫌い」なワケです。ってことは、その「違い」から学べることがあるのでは?革新のヒントが見つけられるのでは?と言う発想です。「嫌い、って言われたら傷つきますか?」と返すと、「『ムカつく』って思うけれど、努力して、感心させてみせる」と続けます。高木代表の「俺が嫌い」なヤツ、「俺のことが嫌い」なヤツへの向き合い方には、学ぶべきが多そうな気がします。
前回のお手紙では、自分が身を置く世界はもしかすると「世界の半分」で、その向こうには「もう半分の世界」が広がっているのかもしれない、と書きました。バイデン氏の勝利演説と、高木代表とのトークで「やっぱりもう半分の世界、もっと知りたいかも」とますます思うようになっています。
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