理想の形は、曲線で
来週発売の「WWDジャパン」でも触れていますし、そもそも「面白いなら、早く記事にしろよ!」ってツッコミが入りそうですが(一番最初に、ココで話したくなってしまう悪いクセですw)、美容家の深澤亜希さん&ウェルビーイングを考える石川善樹・医学博士の対談が面白かったので、“おすそわけ”させていただきます。深澤さんは、心が美しいから肌も美しい、肌もキレイだから心もキレイな「マインド・ビューティ」の提唱者で、ゆえにウェルビーイングを考える石川さんと、大の仲良し。そう聞いて「あ、なんか面白そう!」と閃いて、2人と一緒に「WWDJAPAN.com」で「マインド・ビューティ」を考える連載をスタートします。
トピックスがトピックスなので「多様性」みたいな話題に転じた時、石川さんは「多様化しない根本の原因は、『高み』を目指してしまうから」と話しました。「『高さ』の思想で考えると、ピラミッドになってしまう」と続けます。なるほどです。では私たちは、何を目指せば良いのか?そう聞くと石川さんは、「日本人は『奥深さ』」と答えます。
奥様、奥の手、奥の間……。確かに日本では、「奥」に価値がありそうです。石川さんは、「神社などは、口(くち)から入って、うねうねと奥に行く。『奥に何があるのか?』は、実はあんまり分かっていないけれど、それでも目指す。そして大事なものは、大抵隠れている。大事なものは奥に隠して、ハッキリ言わない。すると多様性が生まれるんです」と続けます。な~るほどです。「頂点」という絶対的な正解を目指し天高く登りつめるのではなく、そもそも正解はよくわからなくても奥に分け入る。確かに多様性が生まれそうな気がします。
なんて話を聞いて思い出したのは、多分、このお手紙の初回に紹介したデザイナーのお話。「マルニ」のクリエイティブ・ディレクター、フランチェスコ・リッソの「僕はピラミッドの頂点じゃなく、サークルの中心にいたい」という話でした。ラグジュアリーの一角にありながら、ヒエラルキーなんて存在しないように見えている、私が大好きなブランドの1つです。
うねうね奥に分け入る日本の精神性と言い、サークルの中心に存在したいと話すリッソと言い、ピラミッドはダメなのですね。うねうね、そしてサークル。これからは曲線の時代でしょうか?時々「循環」を表現するために、曲線を取り入れた三角形を見かけることがありますが、実はアレに違和感を抱いています。3者以外、立ち入れないムードを醸し出しているように思えてしまうからです(天邪鬼!?)。どうせなら、サークルで良いですよね?
理想の形は、曲線で。例えば会社の組織図を曲線で表現したら、何かが変わり始めるかもしれません。
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