国際的な環境保全団体である世界自然保護基金(WWF)ジャパンは、“ワンヘルス共同宣言”への1クリック賛同キャンペーンを開始した。
“ワンヘルス”とは、人や動物、生態系の健康を一つと捉え、それぞれがバランスよく健全にあるべきとの考え方。人が健康であるためには、感染症の発生原因となる自然破壊を止めて生態系を健全に保ち、感染症を拡大する動物の健康も同時に守らなければならないという視点から生まれたものだ。
WWFジャパンでは1月、関係団体とともに、“ワンヘルス”の実現に向け取り組む意志を示す“ワンへルス共同宣言”を策定。同宣言への賛同表明は、キャンペーン特設ページより“1クリック”で簡単に行うことができる。“1クリック”は2月17日まで受け付け、集まった賛同は日本政府に共有し、“ワンヘルス”実現に向けた取り組みの推進を図っていく。
新型コロナで大きな影響を受けた医療・航空・ホテル・小売り業界、アスリート、学生などさまざまな立場の企業や個人が、既に同宣言への賛同を寄せている。
新型コロナウイルス感染症は動物から人に感染する“動物由来感染症(人獣共通感染症)”と考えられているが、新型コロナだけでなく、新たなウイルスの発生は過去50年ほどの間に増加しており、毎年3~4種類の新たな感染症が発生、そのうち70%が動物由来といわれている。
増加の理由には、“世界中で大規模な森林破壊が急速に進んだこと”“感染症を媒介するリスクのある野生生物の取り引きが行なわれていること”などが挙げられる。こうしたことからウイルスの宿主である野生生物と、人や家畜が接触する機会が増え、未知の感染症の伝播につながっていると指摘されている。
そうした事情から、コロナ禍の収束が見えないこのタイミングで、“ワンヘルス”は未知のパンデミックを予防する鍵として国際的に注目されている。