伊藤忠商事は12日、世界最大手のリサイクルナイロンブランド「エコニール(ECONYL)」を展開する伊アクアフィル(AQUAFIL)と業務提携を締結したと発表した。両社はナイロン廃棄物の回収からリサイクルナイロンを原料とした、最終製品の開発、販売に取り組む。
アクアフィルは、漁網や使い古したカーペットなどの廃棄物をナイロンの原料であるカプロラクタムに戻す技術を開発。不純物などを完全に除去してバージン材と同等品質で再利用できる循環リサイクルシステムを構築している。
「エコニール」は、石油由来の通常のナイロンに比べてC02排出量を最大90%削減が可能で、環境配慮型素材として、「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「グッチ(GUCCI)」「バーバリー(BURBERRY)」「H&M」などサステナビリティを推進するブランドが採用。「プラダ(PRADA)」は、21年末までに使用するナイロンを全て「エコニール」に切り替えると発表している。
伊藤忠商事はナイロン原料のカプロラクタム及び、ナイロンチックについて数量ベースで世界最大規模の取り扱いをしている。今後は同社が持つ多様なネットワークを生かして、グローバルにファッションやカーペット、自動車用部材、包材などの用途に向けて拡販していく。さらに、既存の販売チェーンからの廃棄ナイロンの回収スキームも構築予定で、アクアフィルの原料安定供給の観点からも協業を進める考えだ。なおこの提携は繊維・ファッション関連の事業を展開する繊維カンパニーではなく、化学品やプラスチックなどを展開するエネルギー・化学品カンパニーが行うが、今後繊維カンパニーも協業していく。