ファッション
連載 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」

マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」Vol.3 私が“サステナブルになった”理由【前編】

「どうしてサステナブルな思考になったのですか?」と、最近よく聞かれる。

私は「サステナブルなブランドを立ち上げたい!」と思って「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS) a.k.a PMD」を始めたわけではない。むしろサステナブルという言葉すら知らなかったし、その言葉を知ってからも、私なりに理解するまでにとても時間がかかった。うまく使えるようになったのはごく最近だ。

“サステナブルなブランド”に行き着いた経緯は多々あるが、大きく分けると次の3つだ。
1 お金がなかった
2 もともと過剰包装が大嫌い
3 これしかなかった

読者の皆さまにはまず、この3つの話を伝えたい。

2006年から11年まで、セレブなアイドル、略して“セレドル”としてメディアにかわいがられた私が、どうして「お金がなかった」のか、気になるところだろう。そして3番目の「これしかなかった」を知らずして、私がサステナブルな思考になった理由は理解しづらいので、まずはその話から。

11年、さまざまな病気に体と精神をむしばまれてボロボロだった私には、ファッションだけが心のよりどころだった。だからたとえ目の前が見えなくても“ファッション”だけは道を踏み外さないよう、慎重に進んでいこうと決めた。そしてファッション留学を決心し、当時レギュラーだった「笑っていいとも!」や準レギュラーの「アッコにおまかせ!」などのテレビ番組を降板。憧れだったニューヨークのパーソンズ美術大学に留学した。

そこからタバコやアルコール、処方箋まみれの生活を抜け出すまでに7、8年の月日を要した。自分をコントロールできない毎日から私を救ってくれたのは、大好きなファッションと真正面から向き合える環境だったと、今もはっきり言える。

好きなことを探求する中で見えてきたのは、世界の動きや、自分と地球の関係。そして何を選択するかで人生は変わることも分かった。

ようやく生きる光が見えてきた17年、私はエシカルなブランド「パスカル マリエ デマレ」をTシャツ1枚からスタートさせた。「同じ過ちを犯してしまう若い子を少しでも減らしたい」「私と同じ苦しみをファンに味わってほしくない」という思いを込めて、彼らに私が学んだたくさんの生きるヒントを伝えたかった。そのためには、私の手元に唯一残ったファッションで表現するしかなかった。「これしかなかった」のだ。

そして、ロールモデルといわれ、一番影響力があった時代の無知すぎた自分も恨んだ。私を支持してくれていた人に光を与えられていたか、幾度となく後悔した。でも、その後悔が“サステナブルファッション”へのクリエイション源となり、自分自身を突き動かすことになったのだ。

次週、
1 お金がなかった
2 もともと過剰包装が大嫌い
へつづく……

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。