不動産開発や小売業を手掛ける中国のハンルン・グループ(HANG LUNG GROUP、恒隆集団)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比0.9%増の95億2600万香港ドル(約1238億円)とコロナ禍の中でもわずかに増収となった。
同社は中国で複数の小売店を運営しているが、中でもラグジュアリーブランドが多く出店している上海のショッピングモール、プラザ66(PLAZA 66)の小売りの売上高が同60%増だったことが大きく寄与している。また賃料による収入も同34%増と好調だった。
ハンルン・グループが運営するほかのショッピングモールを見てみると、近隣地域のハイブランドが多く移転してきた無錫市のセンター66(CENTER 66)の売り上げが同72%増、上海でより手の届きやすい価格帯のブランドをそろえるグランドゲートウエイ66(GRAND GATEWAY 66)は同42%増、中国東北部の瀋陽市にあるフォーラム66(FORUM 66)は同9%増となっている。一方で、日常的な品ぞろえのモールの売り上げは軒並み同15~23%減となるなど、富裕層によるラグジュアリー消費が中国本土の成長をけん引していることが鮮明となった。
同社は、「20年上半期は新型コロナウイルスの影響による一時的な休業のため売り上げが大幅に落ち込んだが、中国本土では4月頃から急激に回復し始めた。下半期はラグジュアリーブランドが多いショッピングモールの売り上げが非常に好調で、上半期の減少分を補ってあまりあるほどとなった」とコメントした。
しかし同社の本拠地である香港では、こうした消費トレンドが逆転する。主に観光客を対象とする高級ショッピングモールは苦戦しているが、日用品を多く取り扱う地元密着型のモールは堅調だという。同社は、「中国本土と比べて香港の小売りは回復に時間がかかっている」と分析した。
なお北京華連グループ(BEIJING HUALIAN GROUP)が擁する高級百貨店のSKP北京も非常に好調で、20年の売上高は同17%増の177億元(約2832億円)だった。
中国の国家統計局が1月18日に発表した資料によれば、20年の国内総生産(GDP)は同2.3%増にとどまり、1977年に終結した文化大革命以来およそ40年ぶりの低水準となった。小売りは同3.9%減となっているが、2020年10~12月期で見ると前年同期比4.9%増とブラスに転じている。