2021年春夏のメイクアップトレンドは、赤みのある暖色系に集中した。20年の春夏に多かったオレンジ系カラーを使った“みかん色メイク”や“ピンクメイク”の流れを引き継ぐものだが、より赤みを強めた力強いメイクアップにアップデートした。シーズンコンセプトを眺めると、コロナ禍の厳しい時を経て、新たな時代への幕開けや、生命や自然への賛歌をうたうブランドが目立った。春夏定番のミント系のグリーンアイシャドウやパステルカラーの打ち出しもあったものの、今シーズンは数が少なく控えめな印象だった。(この記事はWWDジャパン2021年2月1日号からの抜粋です)
15年に「アディクション」が、18年に「コスメデコルテ」が発売し豊富な色数が人気を集め大きなトレンドとなった単色アイシャドウが、今シーズンもバリエーション豊か。新色も加わり、定番化している。一方で、マスク生活により目元で多色使いのメイクを楽しむ人が増え、店頭では複数色をセットしたパレットの人気も復活の兆しだ。
秋冬に人気の高いマットタイプのリップは、春夏も存在感を増している。より軽いつけ心地や質感に進化したことで、リップメイクの選択肢として完全に定着したように見える。ランウエイの世界では昨シーズン、透け感のある発色や艶のあるリップメイクが数シーズンぶりに復活しており、今後は人気をマットリップと二分することになりそうだ。マスクにつきにくいリップやファンデーションをうたう新製品の発売も増えており、コロナ禍が今後の製品開発やトレンドに影響をもたらすことが予想される。
【TREND 1】
アイは自然の力を感じる赤みよりの暖色系
ここ数年、春夏シーズンに続いていたイエローやオレンジを使ったメイクアップは、透け感やツヤのある質感、“ビタミンカラー”といわれるポップで軽やかなものが主流だった。今年は、より赤みを強めたメイクに進化。テーマには自然や植物、花々といった生命への賛歌が並び、ルックも暖かみのある血色感溢れる色使いと、意志のある表情が多く見られた。
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