REPORT
庭園に芽吹く緑、最高の素材で意表を突く色遊び
今年も「エルメス」の春夏メンズは夕暮れ時、パリ左岸の庭園で開かれた。
今シーズンのコレクションは、そんな会場にピッタリだ。ポイントは、意表を突くカラーリング。庭園にも芽吹くグリーン、その中でも特に彩度と明度の高いミントグリーンを筆頭に、アクアやトマトなど鮮やかな色が差し色として登場。清廉潔白なホワイトはもちろん、ネイビーやブラック、レンガなど、重たい色とコンビネーションを織りなすことで、意表を突いたスタイルを楽しんだ。驚くようなカラーコンビネーションをリアルに提案できるのは、メゾンが誇る最高の素材とクラフツマンシップの賜物だ。
意表を突くカラーコントラストは、例えばバラの花をインターシャで描いたスエードのTシャツにミントグリーンのスリムテーパードのパンツを合わせるように1つのスタイルの中で楽しむタイプから、ロールアップするとタバコ色のライナーが現れるテーパードデニムのように1着の中で完結するものまで、多種多様だ。用いる色のボリュームも、トマト色に染めたパイソンのブルゾンにマルチカラーのボーダーを描くほど大胆なものから、レンガ色のブルゾンにブルーのパイピングをあしらう程度の控え目なタイプまで幅広い。素材ごとに、それが生きる方法を考えるメゾンの哲学が窺える。
アクセサリーは、パイピング同様コントラストカラーのステッチが印象的なレザートートや、バックストラップのサンダル、それに、首元でシンプルに結んだ小さめのスカーフなど。