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イエモン吉井和哉と息子・添の「セリーヌ オム」2世代ショットが見たい(願望) エディターズレター(2021年2月16日配信分)

※この記事は2021年02月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

イエモン吉井和哉と息子・添の「セリーヌ オム」2世代ショットが見たい(願望)

 「若さって美しい」。口に出すと非常に居心地が悪いフレーズです。若さ至上主義を賛美するみたいですから。でも「セリーヌ オム」の2021-22年秋冬コレクションを見た直後の感想は断然「若さって美しい!」でした。そしてそのことを誰かと無性に話したくなったのでこちらで失礼します。

 エディ・スリマンは「ディオール オム」時代から現在の「セリーヌ オム」まで20年近く、一貫して “少年性”をクリエイションの核にしています。自尊心と憧れ、倦怠と闘志、反抗心と弱さ、繊細さと大胆さ、自信とコンプレックスなどたくさん矛盾を内包した “少年”のモデルは常に少し猫背で速歩きです。そしてエディはそこに、その時代特有のユース感を巧みに取り入れてきました。

 先週、渋谷のミヤシタパークにオープンした「セリーヌ オム」2021年春夏コレクションのポップアップストアもユース感が満載でした。店に入らずとも、店の前に隠し置かれた来店客たちのスケートが少年の存在を物語っていました。テーマは、ティックトックを楽しむ若者を意味する “THE DANCING KID”。ピンクのロゴ入りフーディなどカジュアル&ポップなアイテムがサラっと並んでいます。エディのロックな世界を見てきた私には驚くほど軽く見えました。

 エディは52歳です。50歳を過ぎた者が“少年性”を語れば、歳を重ねた者の郷愁や下手をすれば焦燥とも映りそうですが「セリーヌ オム」はそうはなっていない。それは少年たちの声を聞けば明らかです。オープニングに来場したティックトックで320万人のフォロワーを抱える19歳のモデル大平修蔵さんは、10日にデジタルで発表された「セリーヌ オム」2021-22年秋冬コレクションがどれだけかっこよくてインスパイアされたかを真剣に、そして夢中になって話してくれました。その目が美しかった。

 ポップアップにはモデルの吉井添さんも来ていました。彼の父であるTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんのファンである私は、平静を装うのにもう、必死(笑)。「パール」で「不自由と嘆いている自由がここにある」と歌い「アレキサンダー マックィーン」の時計を突き出していた20年前もそうだけど、現在も重ねた年齢の葛藤を隠さず言葉にしているミュージシャンである吉井和哉さんもきっと「セリーヌ オム」が似合うだろうな、と妄想しました。特にモノトーン&テーラードが多い2021-22年秋冬コレクションはぴったり。

 「セリーヌ オム」に見る「若さって美しい!」の正体は「シワのある手にゴールドのリングが似合う」と同じで、その時にしか持ち得ない魅力なんだと思います。エディが切り取り続けているのは“少年”の外見の美しさだけでなく、どんな時代もその世代が抱える葛藤や矛盾であり、ちょっと大げさに言えば刹那な命の賛歌だと思います。だからロックやヒップホップが似合う。

 「セリーヌ オム」は気がつけばユースと、エディ世代の大人の両方に愛される稀有なブランドになっていますが、これってすごいことだと思う。吉井家2世代で着る「セリーヌ オム」なんてめちゃくちゃカッコいいだろうな、表参道の駅貼りとかで見てみたいなと夢見て、お店に来ていた祐真朋樹さんに勝手にリクエストしてみました。

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