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頼まれ仕事への熱量をあげるには? エディターズレター(2021年2月19日配信分)

※この記事は2021年02月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

頼まれ仕事への熱量をあげるには?

 「キッカ」を退任した吉川康雄さんが、新ブランド「アンミックス」を立ち上げました。記事にある通り、一番の驚きはシーズナルカラーを発表しないこと。実際デビューアイテムのリップもまずは2本、その後は毎月1本ずつ拡充という考え方。無論、多少の入れ替えはあるでしょうが、「春コレクションです!」とか「秋の新色です!!」という売り方はしないんですね。記事にある通り、「嫌いなところを“なおす”ための美容ではなく、好きになるための美容」を目指す「アンミックス」の語源について吉川さんは、「自分だけ。自分の思いだけを大事にという意味も込めている」とおっしゃいました。「キッカ」はカネボウという大手傘下のブランドだったからこそ、「やりたいこと」が実現できたのと同時に、「やらねばならない」ことも多かったのでしょう。ご自身が代表取締役を務める会社のブランドでは、そのバランスがどう変化するんだろう?なんて考えます。

 「やりたいこと」と「やらねばならないこと」のバランスは、組織に属する人間にとっては永遠の、いや、フリーの方にとっても重大な問題ですね。以前も、「『なんで俺が?』とか『それは私の仕事ですか?』と言う人にはガッカリ」とのお手紙をお送りしましたが、最近も「“振られた”仕事に興味がなかったので、熱量が低かった」と本音を打ち明けてくれた後輩に向き合い、まぁまぁイロイロ考えました。

 本当にイロイロ考えました。まずは「振る」「振った」「振られた」などの言葉で表現してしまった、一部プレスリリースの取り扱いについて大きく反省しました。「リリース起こし」という業務を改称したいとの思いを吐露した以前のお手紙では、PRの方からお返事を頂戴しました。彼女いわく、PR側も「リリース配信」を「リリースを捲く」と表現してしまうときがあり、「リリースを捲く」には“バラ捲く”のようなニュアンスを感じていると言います。上司に「リリース、撒いといて」と言われると「チッ!」って思うそうです(笑)。やっぱり言葉って大事。まずは仕事を「振る」という表現を改めようと心から誓うのでした。

 熱量については、もちろん本人には「我々はサラリーマンなんだ。会社をナメるな」とのメッセージをストレートに発しましたが(笑)、人間、興味の有る・無しは仕方のないことでもあります。どうしたら、個人的には興味が薄い仕事でも熱量をあげてくれるだろう?媒体を思い、業界を思う気持ちはあると信じ、こう投げかけました。

 「その仕事だって、媒体を思い、業界を思う仲間が頼んでいるんだよ。媒体、業界を盛り上げるというゴールは、自分が一から企画した100%オリジナルのコンテンツでも、依頼された記事作りでも、変わらないよ」。うわぁ、照れますね(笑)。

 なんかこういう時は、視座を一段引き上げると良いと感じるようになりました。目の前の作業に対する思いはさまざまでしょうが、そんな作業を積み重ねる業務、さらには業務を積み重ねて到達しようとするゴールは、作業に対する思いほどバラバラではないような気がします。だから視座を一段階引き上げると、納得、少なくとも理解して取り組めるのではないか?そう思うのです。納得・理解してくれれば、熱量はちょっと上がりますよね。

 世の中がパーパスドリブンになると、ゴールに対する思いはより一層収れんされるようになります。作業への思いではなく、作業を積み重ねた末のゴールへの思いに働きかけるのは、有効だと思うのです。

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