「WWDジャパン」2月22日号の別冊付録「ラン&フィットネス」の表紙を飾ったのは、ダンサーのアオイヤマダ。2000年生まれの20歳ながら、数多くのMVや広告ビジュアル、雑誌モデルなどに起用され、枠にとらわれないユニークな活動で着実にその名を広めている。ダンスを始めたきっかけや新常態における心境の変化など、彼女の素顔に迫る。
WWD:あなたにとってダンスとは?
アオイ:自分の感情を伝える手段です。例えば緊急事態宣言下にインスタグラムで始めた「野菜ダンス」は、体を心配して連絡をくれるおじいちゃんとおばあちゃんに向けたもの。「私はたくさん食べてるし、元気だよ」と言葉で伝えても安心しなかったおじいちゃんとおばあちゃんが、動画を見て「元気なんだね。良かった良かった」と満足してくれた。言葉はすごく直接的だけど、ダンスはふにゃふにゃな輪郭で、受け手が自由に解釈する余白がある。それが面白いし、私には合っているんです。
WWD:ダンスを始めたきっかけは?ずっとそのスタイル?
アオイ:小さいころ、ダンスを習っているお姉さんが近所にたくさんいて、その影響で始めました。長野の小さな町で育ち、「環境を変えたい」と高校は東京のダンスを学べる学校に通ったのですが、スタジオで鏡を見ながらひたすら練習する日々で「なんか違うな」と思いました。ある日、山口小夜子さんや勅使川原三郎さんがセッション的に踊っている動画を見て「これだ!」と思い、感情のままに踊るスタイルにシフトしました。
WWD:その後、ダンスとの向き合い方に変化は?
アオイ:最近まで、ただ街を歩いている人のように“ダンスを見ようと思っていない人”に踊りを見せ、その人の感情がどう変化するかに興味がありました。今は最初から“ダンスを見ようと思っている人”に向けて踊ることに興味があります。去年、舞台「星の王子さま―サン・テグジュベリからの手紙―」(森山開次演出・振付)の王子役をやらせてもらったのがターニングポイント。王子という一つのキャラクターに向き合い、どんな王子を見せればいいのかをただひたすら考えました。落ち込んだり悩んだりもしましたが、“確固たるキャラクターを提供する”というダンスの新たな魅力を発見でき、表現者としてすごくいい経験になりました。
WWD:ダンスは心を満たしてくれる?
アオイ:内部と外部が繋がる瞬間は、すごく気持ちがいいです。普段は物を持つときに「よし、腕を動かそう」と意識しないけど、ダンスは全神経を集中させて一つ一つの動きをコントロールしなきゃいけない。その中で、心と体が完全にリンクする動きができた時に、「あっ、今、つながった」ってすごく高揚するんです。これがダンスを続ける理由の一つかもしれません。
WWD:ダンス以外でも体は動かしている?
アオイ:最近は、朝のお風呂上がりにヨガをするのにハマってます。以前は筋トレをやっていたのですが、必要ない部分にも筋肉がついちゃうのでヨガに変えました。体を動かしやすくなったし、呼吸も無理なく続くようになり、効果を実感しています。体はあくまで入れ物だから、自分で手入れしないと長続きしない。手入れの仕方は人それぞれなので、いろんなアクティビティーを試して、体が求める動きを見つけると面白いと思います。
WWD:ファッションではどんな服が好き?
アオイ:作り手を身近に感じられる服です。おばあちゃんが作ったブローチとか、あるお店で満月の日にしか作られていないスカーフとか。作り手の背景を聞くと愛着が湧いて、自然と身に付けたくなる。ハイブランドの服でも、デザイナーさんの話を聞く機会があったら絶対に好きになっちゃうな。
WWD:モデル活動の楽しさは?
アオイ:モデルをやりたいと思っていたわけではないですが、自分の動きがモデルのポージングとして機能するのが面白いし、何でもアリな今の時代を表していると思います。これからも、広い意味での“表現者”としていろんなことに挑戦していきます。