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2021年に注目したい企業 エディターズレター(2020年12月21日配信分)

※この記事は2020年12月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

2021年に注目したい企業

 2021年に注目したい企業はいくつかありますが、その1つがファーフェッチです。

 言わずと知れたハイエンドなファッションEC企業ですが、そもそも自分たちで在庫を持たずに世界各地の小売店の出品によって豊富な品ぞろえを実現して、垣根なくオシャレに見せるというのが面白く、目から鱗な仕組みでした。

 その後、ロンドンの老舗セレクトのブラウンズを買収し、孤高のプライベートカンパニー、シャネルと提携して、18年末に鳴り物入りで上場。ニューヨーク発のスニーカーリセールのスタジアムグッズ、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル・アブロー」などを擁するミラノ拠点のニューガーズ グループを買収するなど、リセール機能やメーカー機能を国をまたいで着々と手に入れています。

 20年はなんとライバル、ユークス ネッタポルテの親会社リシュモンと中国ECの巨人、アリババと提携するというウルトラCを見せてくれたわけですが、中国ラグジュアリー市場をどう攻略するのか、非常に興味深いです。

 そして、今度は「基幹ビジネス以上にリセール事業を拡大するぞ!」宣言です。しかも「環境や社会に配慮した商品以外は販売しない」と!なかなか大胆です。

 プラットフォーマーとしての影響力は言うまでもないですが、もちろんビジネス的な勝算もあるわけで。リセールに関しては先日LVMHグループの幹部もいろいろ検討していると明かしていましたし、今後ラグジュアリーブランドもデザイナーズブランドもどんどん参入すると思います。

 ラグジュアリーのリセール市場は今はアメリカのザ リアルリアルが一歩先んじていますが、ファーフェッチが本腰を入れるとなれば組もうというブランドも現れるでしょう。そもそもリシュモンもケリングもシャネルも資金を投入してる企業です。いろいろと面白い可能性が生まれそうです。

 サステナビリティを起点にしながら、しっかり成長を描くケースって意外と少なくて。そういう意味でも画期的だなと思いました。事業転換するのではなく、既存のビジネスをアップデートしつつ、新規をそれ以上の事業にするというのがポイントですね。

 私にとって、創業者兼会長兼最高経営責任者(CEO)のジョゼ・ネヴェスは、こちらが「へー!」と思うようなことをさらっとやってのける軽業師のイメージ。計画の詳細については1本目の関連記事をぜひ。

 30年までの目標ですから、あと10年ありますね。21年といわず、ディケード単位で注目です。コロナ禍という難局を皆で乗り越えるためにも、こうした長期のビジョンが必要な時期でもありますね。

 思うにサステナビリティって、そこに関わる人も動物も地球もハッピーな状態を作ることが最大の目的で、数値やビジネスモデルは手段でしかありません。でも企業の規模や活動範囲が大きければ大きいほど、その取り組みのインパクトも大きいかと。ファーフェッチの目標達成は、幅広い業界からの賛同や取り組みがないと実現不可能です。ネヴェスCEOがそれをどうクリアしていくのかが楽しみです。

 ちょっと早いですが、年内最後のお手紙になります。お付き合いいただき、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。皆様、良い年末年始をお過ごしください。

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