世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで連載「海外ビューティ通信」では、パリとニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。
ベルリンは例年より雪の日が多く、ロックダウンも重なったことから外出が億劫になりがち。運動不足になるだけでなく、日照時間が少ないことからビタミンDが不足し、ウィンター・ディプレッション(Winter Depression)と呼ばれる冬季うつ病の可能性も高くなる。私たちはどう美と健康を維持すれば良いのか?インターネットには大量の情報が溢れており、どれを選べば良いのか分からず、調べているだけで疲れてしまう。
昨年から海外でのキャリアをスタート
「とにかく何でもいいので気になったものから試すのが大事。始めるまでが一番大変なので、まずは始めて、いろいろなエクササイズを試すと合うものが見つかるはず」。そう語るのは、ベルリンでモデルとして活躍中の長谷川彩華さん。日頃から私たちの何倍も美容と健康に気を使いながら生活しているモデルという職業は、日々の努力の賜物といえる。
日本でもモデルとして活躍した彩華さんは、2020年1月にベルリンへ移住し、すぐに現在のエージェンシー、ヴィヴァ・モデルズ(VIVA MODELS)に所属。海外でのキャリアスタートは順調と思ったところに、新型コロナウイルスのパンデミックとなった。当然ながら撮影の仕事は減り、慣れない土地での自粛生活を余儀なくされた。そんな現役モデルの彼女に、自粛生活でも気軽にできるエクササイズや美容法を教えてもらった。自宅で過ごすことが多い日々の中で、毎日実践していることは下記の通りだという。
「美は1日にしてならず」
1.早寝早起き、きちんと7時間眠る
2.朝昼晩、3食きちんととる
3.よくかんで、ゆっくり食べる
4.食物繊維やカリウムが多く、加熱後も成分が変わらないセロリを中心とした野菜とビタミンが豊富なグレープフルーツなどのかんきつ系の果物を食べる
5.1日5分でもいいから毎日欠かさずエクササイズを行う。体幹を鍛えるエクササイズを実行中
6.サプリメントに頼らない
7.可能な限り湯船につかる
今すぐ実行できそうなことも多い。しかし「美は1日にしてならず」という言葉があるように、ただやればいいというのではない。毎日欠かさず継続しなければ効果は期待できない。まず自分に合った美容法や健康法を見つけることが重要だ。例えばスポーツジムに通えない今、エクササイズはユーチューブでお気に入りのインストラクターの動画チャンネルを見つけて参考にすれば、プロからの正しい知識やアドバイスを得ることができる。自宅で行う際もスポーツジム同様、専用のトレーニングウエアを着用すると体形の変化をリアルに知ることができてモチベーションが上がるという。
「私は実は太りやすい体質なんです。東京にいた時はもっと忙しかったこともあり、不規則な生活に。ストレスからお酒を飲む機会も多かったんです。今よりハードなダイエットをしていたし、食事制限やサプリメント摂取もしていました。移住で生活はガラリと変わったんですが、不思議なことに体重は東京でダイエットをしていた時と変わらないんですよね。規則的な生活で健康は維持できるし、ストレスをためないことが何よりも大切だと気付きました。ベルリンは自然が多いので、公園までジョギングやウオーキングをして新鮮な空気を吸ったり、毎日ルートを変えて景色を変えたり、ロックダウン中でもできることはいろいろあるので、普段と変わらないモチベーションを保てています」。
個性が求められるベルリンのモデル業界
日本でのモデルの仕事はまず美を追求されるというが、ベルリンでは個性が重要視され、多様性を求められるという。多国籍、LGBT、プラスサイズモデルなどが活躍するヨーロッパならではといえるが、ゲイカルチャーが確立しているベルリンは、特にそういった傾向が強いかもしれない。「まず、日本人どころかアジア人モデルと撮影現場が一緒になることは少ないし、自分と比べる対象がいないんです。ヨーロッパ人の美しさは、もう別物なんですよね。彼らは、私の黒髪のカーリーヘアがすてきだと言ってくれる。モデル同士がライバル視するのではなく、お互いに褒め合って、高めていくことが多いです。とはいえライバルからの刺激も必要なので、インスタグラムで日本のモデル仲間の近況を見ながら、自分も頑張ろうと気合いを入れています」。
環境の変化は新たな価値観を生み、自粛生活は改めて自分と向き合うために有効な時間になっている。先の見えない状況の中で、今できることをポジティブに続けることが、心身ともに健康でいられる方法ではないだろうか。