「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」の冠スポンサー、楽天による日本発ブランドの支援プロジェクト「バイアール(by R)」に「アンダーカバー(UNDERCOVER)」と「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」が参加する。「ビューティフルピープル」は15日に、「アンダーカバー」は19日に2021-22年秋冬コレクションをリアルとデジタルを融合して発表する。「アンダーカバー」が東京で単独のショーを行うのは19年ぶりだ。「アンダーカバー」の高橋盾デザイナーは「東京でやるからには、“生”のショーの楽しさ、パワーを伝えたい」とコメントし、「ビューティフルピープル」の熊切秀典デザイナーは「ファッションの華やかさや非日常の楽しさを満喫して欲しい」と話す。
楽天は前シーズンに「バイアール」を立ち上げ、「ダブレット(DOUBLET)」と「ファセッタズム(FACETASM)」をサポート。リアルのショーの加え、エフェクトをかけた映像や観客目線のライブ配信など、デジタルとリアルを融合した演出でインパクトを残した。
今シーズンから「バイアール」のプロジェクトメンバーとして本格参加する飯島仁ファッション事業部 ラグジュアリーブランド課 シニアマネージャーは、ヨウジヤマモト出身でコレクションビジネスを熟知する人物。昨年10月にローンチした「楽天ファッション・ラグジュアリー(RAKUTEN FASHION LUXURY)」の立ち上げに携わるなど、楽天とファッション業界をつなぐキーマンに、「バイアール」と東コレの可能性について聞いた。
「デザイナーを軸に東コレの価値を高める」
WWD:なぜこの2ブランドを選出した?
飯島:“日本を代表するブランドと「RFWT」を盛り上げたい”という思いに賛同してくれたのが「アンダーカバー」と「ビューティフルピープル」だった。「RFWT」では、海外のメディアやインフルエンサーを招待して世界へ発信したいと考えてきたが、コロナ禍ではそれが難しい。国内デザイナーを軸とする「バイアール」なら、この状況でもファッション・ウイークを海外にアピールできる。東コレは若手デザイナーの登竜門で、国内外で活躍する人材を多く輩出してきた。「バイアール」を通して、「RWFT」をもっと注目されるイベントに成長させたい。
WWD:前回の「バイアール」の反響は?どんな点をアップデートする?
飯島:初回となった前シーズンは、“リアルショー開催”が最大のミッションだった。バイヤーやメディアの反響で手応えを感じた一方、ECを中心とする楽天の強みはまだまだ生かせるとも思った。今回はコレクション発表だけでなく、ECプラットフォーム「楽天ファッション・ラグジュアリー(RAKUTEN FASHION)」に参加してもらう。限定アイテムも用意して物販を強化し、デザイナーのビジネスを後押しする。「バイアール」に限らず“買えるファッション・ウイーク”のコンセプトは継続し、国内のコレクションブランドに特化した常設ECプラットフォームも3月に公開する予定だ。インタビューコンテンツを用意するなど、ブランドの世界観をより明確に伝える施策も考えている。
WWD:ショーの支援もさらに強化する?
飯島:もちろん。前回で満足せず、もう一段階上を目指そうと関係者各位が一丸となって進めている。困難な状況ながら、ブランドも前のめりな姿勢を見せてくれている。彼らの期待に応えるため趣向を凝らし、ベストなショーを必ず実現させる。
WWD:今後強化していきたいことは?
飯島:私はコレクションブランドに長年在籍し、ビジネスをやってきた。楽天の事業は把握しているつもりだったが、1億を超える会員にリーチする多様なサービスと、それらを有機的につなぐ包括的なシステムの価値など、入社して初めて分かったことも多い。これらはブランド側にまだまだ伝え切れていない分、大きな可能性を秘めている。リソースを抑えてクリエイションに集中できるなど、われわれの機能を使うメリットをブランドにもっと発信し、日本のファッション業界に貢献したい。