田中文江によるファッションブランド「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA) 」は、デジタル上で開催中のロンドン・ファッション・ウイーク(以下、LFW)に初参加し、2021-22年秋冬コレクションを発表した。東京都と繊維ファッション産学協議会が主催する「東京ファッションアワード 2020(TOKYO FASHION AWARD 2020)」の受賞特典としてLFWへの参加が決まり、他の5ブランドとともにオンライン上で映像を公開した。
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重なり合いで生まれる美しさを表現
PHOTO:YUJI WATANABE
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田中デザイナーはLFWヘの参加を大きなチャンスと捉えており、「このコロナ禍でも記憶に残り、“ワクワク”が伝わるような映像を、妥協をしないメンバーで作り上げ、もう1段階上のレベルに上がりたかった」と話す。前シーズンに引き続き、演出振付家のMIKIKO率いるダンスカンパニー、イレブンプレイ(ELEVENPLAY)とタッグを組み、メディアアート集団のライゾマティクス(Rhizomatiks)の真鍋大度と初めて協業した。
今季は“ミルフィーユ(millefeuille)”をテーマに、ベージュのレイヤードスタイルで統一。6つのキールックはジャケットとシャツを一体化させたトップスや、スカートとパンツをドッキングしたボトムスをはじめ、段々に連なった襟のニットトップス、アシンメトリーのフリルを大胆に施したドレスなど、アイテムや素材が重なってできる美しさを表現している。「たくさんの人と関わって、多くの経験の積み重ねて今があり、モノ作りができている。軽やかにレイヤーしながら、心を豊かにするファッションを生み出したかった」と田中デザイナー。
ダンサーがiPhone 12 Proを使って撮影 PHOTO:SHUHEI SHINE
ダンサーがiPhone 12 Proを使って撮影 PHOTO:SHUHEI SHINE
左からライゾマティクスの真鍋大度、「フミエ タナカ」の田中文江、イレブンプレイのMIKIKO PHOTO:SHUHEI SHINE
田中文江デザイナー PHOTO:SHUHEI SHINE
資生堂トップヘアメイクアップアーティストの進藤郁子によるヘア&メイクと、ディスコの金子渚によるネイルアート PHOTO:SHUHEI SHINE
資生堂トップヘアメイクアップアーティストの進藤郁子によるヘア&メイクと、ディスコの金子渚によるネイルアート PHOTO:SHUHEI SHINE
資生堂トップヘアメイクアップアーティストの進藤郁子によるヘア&メイクと、ディスコの金子渚によるネイルアート PHOTO:SHUHEI SHINE
資生堂トップヘアメイクアップアーティストの進藤郁子によるヘア&メイクと、ディスコの金子渚によるネイルアート PHOTO:SHUHEI SHINE
資生堂トップヘアメイクアップアーティストの進藤郁子によるヘア&メイクと、ディスコの金子渚によるネイルアート PHOTO:SHUHEI SHINE
舞台は、築100年の赤レンガ造りが特徴的な早稲田奉仕園のスコットホール(講堂)。映像の監督はMIKIKOが務め、モデルとカメラマンをイレブンプレイのダンサーたちが担当した。MIKIKOは「休館または廃館した誰もいない劇場に、ダンサーの魂だけがやってきたというのが裏テーマ。コロナ禍の自粛でなかなかライブができず、ファッションショーもオンライン上で発表されるような、今のもどかしい心境とリンクさせている。振り付けはゴーストやアンドロイドのようなイメージで、気持ちのいい違和感のある映像を目指した」と説明する。体を揺さぶって“もやもや”を表現する動きや、宙を舞うように滑らかなカメラワークが特徴的だ。MIKIKOと15年以上協業を続けているライゾマティクスの真鍋は「ダンサーでなければ撮れない映像になった。これまではダンサーが動ける手持ちのカメラの選択肢は少なかったが、今はiPhone 12 Proを使って、撮影やスキャニングまですることができる」という。真鍋は今回のために製作したソフトウエアを活用して、デジタル上で会場外に飛び出すような視覚効果を加えている。BGMにはニューヨークのバンド、ブロンド・レッドヘッド(Blonde Redhead)のリードボーカルで、海外を拠点にする日本人女性アーティストのKAZUの楽曲「Salty」を採用した。
メイクやネイルの細部にまでこだわりが詰まっている。ヘア&メイクは「フミエ タナカ」の前身ブランド「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から担当する資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト進藤郁子によるもの。モデル全員が日本人女性だったため、漆黒の前髪ウィッグを制作してモード感を演出した。前髪は、踊っても割れて見えないよう額の上にチュールを合わせているほか、ブラックアイシャドーでのスモーキーなアイメイクを施した。ネイルは気鋭ネイルアーティストのディスコ(DISCO)の金子渚が担当し、コレクションの生地を用いてベージュのレイヤードスタイルを爪先まで表現した。