最近、ますます自分の中で膨らむジレンマがある。ビューティ企業のサステナビリティの取材をしている身として、企業のサステナブルな取り組みは素晴らしいことだと思う。だが同時に、毎日のように編集部に届く“サステナブル”“エシカル”“クリーン”なブランドの誕生や新製品の発売に関するリリースに、何とも言えない違和感を抱いたりもする。例えば、「プラスチックを従来の〜%減らして作ったパッケージを用いている」「減プラに取り組んでいる」ということはよく記されているが、そもそも本当にプラスチックを減らしたいなら、新製品を出すこと自体、プラスチックを生み出しているのでは?と思ってしまう。ほぼ外出しなくなり着る服やメイクの季節性があまり関係なくなった中で、シーズンごとに新作が次から次へと発売されることにもやっぱり違和感を抱く。もちろん、ビジネスである以上は新作を出す必要はあるし、サステナブルでない既存品の需要が下がるのであれば、このような新作が存在する価値はあるだろう。(この記事はWWDジャパン2021年2月22日号からの抜粋です)
化粧品業界を見ていてますます感じることは、もうあまり“質”“効果”だけでは勝負できないこと。今の時代、ドラッグストアなどで売られている1000円台の化粧品が、高価格帯の百貨店コスメと同じように評価される。中身や開発技術は違えども、発色の良さや使い心地、効果実感はプチプラでもデパコスでももうあまり関係ない。アットコスメやアマゾンで、いろいろな価格帯のコスメが同じ並びで売られているのを見ると、ますますそう思う。高品質・高機能であることはもう前提として当たり前であり、プラスアルファの価値がないと生き残れないほど競争が激化している。特に化粧品業界の成長が続く中で、同じようなコンセプトや効果効能を打ち出す製品も目立ち、化粧品そのものの効果などで差別化を図ることがどんどん難しくなっているように感じる。
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