ファッション

通勤シューズはフラットパンプスが定着 在宅勤務で“脱ヒール”が進む 

 婦人靴の売れ筋が、ヒール付きのパンプスからヒールの低いカジュアルシューズへと変わっている。コロナ禍による在宅勤務の推進や、オケージョン需要の減少でその傾向が強まった。全国20店の百貨店を対象にした2020年8〜12月の売れ筋調査では「主力だったパンプスの売り上げは前年同期比40%減と大幅に減少」(高島屋日本橋店)、「オケージョンのニーズが減り、カジュアル傾向が益々進んでいる。フラットヒールやカジュアル系のソールでファッション性の高いアイテムが支持されている」(小田急百貨店新宿店)という声が上がった。

 通勤靴として支持を得ているのは、低めのヒールやフラットのローファーやカッターシューズ(ローヒールパンプス)だ。全国百貨店の婦人靴売り場で伸長率ランキング1位だった「卑弥呼」では、かかとを折っても履けるローファータイプのバブーシュ(2万円)や、はっ水素材を使用したポインテッドトゥのフラットパンプス(1万9000円)が売れ筋になった。京王百貨店新宿店では、「ちょっとしたお出かけにおしゃれで履きやすいシューズやソリューションシューズが売れている。今後はワンマイルシューズとしてデザイン性があり、履きやすさを重視したソフトパンプス、ウォーキングシューズの打ち出しを強化していく」という。

 また数年続くスニーカーブームの影響から、スニーカーがトレンドから定番化。コロナ禍で運動不足を解消する人たちがウオーキングシューズを買い求める傾向もあった。「運動不足を解消する人に向けてスニーカーが好調。幅広い年代、顧客グレード層に受け入れられ、数字につながっている」(大丸札幌店)。

ヒール靴はショートブーツで 都心ではロングブーツが復活

 パンプス需要が減少する中、ヒール靴を求める人にはショートブーツが人気だった。「パンプスが苦戦したが、ショートブーツの動きは好調だった」(そごう横浜店)、「20年秋冬はブーツが早くから動き出した。お客さま自身でイメージしている商品がある方が多く、人気商品は偏りが出てしまい、早期完売してしまうこともあった」(松屋銀座本店)という。

 ショートブーツではブランドの定番品に注目が集まり、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の“タビ”ブーツや「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」の定番のレースアップブーツ“1460 8ホールブーツ”が売れている。「メゾン マルジェラ」の“タビ”は1989年に発売したブランドを代表するシューズで、日本の足袋から着想を得て2つに分かれたつま先が特徴。「SNSでの影響から指名買いが増加している。“タビ”ブーツの8cmヒールが人気」(岩田屋)。また「ドクターマーチン」の“1460 8ホールブーツ”は2020年に60周年を迎えた定番モデル。「韓国アイドルが履いていた影響で購入が見られた」(伊勢丹京都店)などの声もあった。

 都心では久しぶりにロングブーツも売れ筋に上がった。「トレンド復調のロングブーツや筒の細いショートブーツ、ブライトカラーのショートブーツなど、新しいトレンドも出現した」(西武池袋本店)。中でも「サルトル(SARTORE)」や「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」などの老舗シューズブランドのロングブーツが支持された。「『サルトル』は定番のロングブーツ、ショートブーツとも堅調に推移。お手入れ方法もご紹介するイベントを開催。いいものを大切に長く履きたいというお客さまニーズが増加している」(阪急うめだ本店)という。

 「WWDジャパン」では、2月22日号で「2020年秋冬に売れたものは何だった?」と題した特集を掲載。連動して、全国41の百貨店に化粧品、特選、ジュエリー、時計、婦人服、紳士服、バッグ、シューズ、ファッションジュエリーの9カテゴリーの商況をアンケート調査した別冊の「20年秋冬ビジネスリポート」も発行した。「ビジネスリポート」は定期購読者向けの特典という位置づけだが、個別で販売もしている。

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