エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比7.1%減の63億8900万ユーロ(約8114億円)、営業利益が同11.3%減の20億7300万ユーロ(約2632億円)、純利益が同9.3%減の13億8500万ユーロ(約1758億円)だった。
カテゴリー別での売上高は、レザーグッズが同6.0%減の32億920万ユーロ(約4075億円)、衣料・アクセサリーが同10.5%減の14億890万ユーロ(約1789億円)、シルク・テキスタイルは同23.7%減の4億5200万ユーロ(約574億円)、香水は同19.2%減の2億6320万ユーロ(約334億円)、ウオッチは同1.2%増の1億9590万ユーロ(約248億円)だった。
地域別での売上高は、フランスが同28.5%減の6億1960万ユーロ(約786億円)、フランス以外のヨーロッパが同20.6%減の9億5340万ユーロ(約1210億円)、日本が同3.4%減の8億3390万ユーロ(約1059億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同12.5%増の29億1540万ユーロ(約3702億円)、南北アメリカは同22.7%減の9億5900万ユーロ(約1217億円)だった。
20年10~12月期(第4四半期)で見ると、売上高は現地通貨ベース(以下同じ)で前年同期比15.6%増の21億110万ユーロ(約2668億円)と増収だった。ライバルのLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が同3.0%減、ケリング(KERING)が同5.0%減だったことを踏まえると、コロナ禍の中でもエルメスの強さは際立っているといえるだろう。
これにはアジア太平洋地域の好調ぶりが大きく寄与しており、日本は同15.6%増、日本以外のアジア太平洋地域は同47.4%増と大幅に業績を伸ばし、同18.2%減と不調だったフランスや、同3.6%減だったフランス以外のヨーロッパでの売り上げ減をカバーした。
アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者はアナリストやメディア向けの会見で、「当社はパンデミックが発生する以前から、現地の顧客にフォーカスし、アジアでの存在感を高め、ECの強化に投資していた。こうした戦略が奏功し、コロナ禍においても業績を伸ばすことができた」と語った。20年におけるECの売り上げは3ケタ増となり、その75%が新規客だったという。
エルメスは現在およそ1万6600人の従業員を抱えているが、業績が好調であることを受け、21年には全従業員に1250ユーロ(約15万円)の特別ボーナスを支給する。