三菱商事グループのファブレス(自社工場を持たない)メーカー、三菱商事ファッションは、「循環」をテーマとする次世代型のサステナブルなD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)プロジェクト「NAGIE(凪へ)」を立ち上げた。3月3日の受注開始に伴い、東京・表参道でポップアップストアを開設する。
「NAGIE」の特徴は3つあり、その1つはリサイクルシステム。ポリエステルのリサイクル素材を使用し、ボタンなどの付属に至るまで独自開発、または調達したリサイクル素材を活用して事業パートナーである日本環境設計とのコラボレーションにより、商品の回収・循環を目指す。その一環として、ポップアップストアにも衣料品(混率:ポリエステル50%以上)の回収ボックスを設置する。2つめは、“限定受注生産式”というシステム。生産・販売・流通の在り方を見直し、生産プロセスにおける透明性、経済合理性の担保を目指したもので、商品ごとにシリアルナンバーを施し、大量生産を行わない受注生産を推進する。そして3つめが、“心地よさ(GOOD FOR MIND)”のコンセプトに沿った生地や商品の開発を実現すること。着心地、機能性、デザイン性とサステナビリティの両立を目指す。
販売する商品は、ビジネスとアスレチックを掛け合わせた造語“ビズレチック”をコンセプトとしたメンズとウィメンズのアパレル各10型で、メンズのジャケット(2万7500円)、テーパードパンツ(1万6500円)、ジョガーパンツ(1万4300円)などがある。
今後、他ブランドとのコラボレーションによるサステナブルな商品開発やD2Cブランドに対する素材や生産面での支援などを行う予定だ。
サステナビリティへの取り組みが世界のスタンダードとなり、大量生産・大量廃棄からの脱却がファッション業界の使命となる中、アパレルのOEM(相手先ブランドの生産)、ODM(相手先ブランドの企画生産)を担う繊維商社のサプライチェーン(SC)は変革を余儀なくされている。各社は、その1つの手段としてDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを本格化し、ファッションテック企業へ出資や提携を拡大しながら、独自のサプライチェーンの構築を進めてきた。コロナ禍でデジタル化が加速する中、無駄をなくした効率的なビジネスモデルの開発が各社で活発化しており、繊維商社はオリジナルブランドの展開を通してOEM、ODMの精度アップを試みている。
■「NAGIEポップアップストア
日程:3月3~31日 11:00〜20:00
場所:G ビル神宮前09(東京都渋谷区神宮前4-25-29)