コロナ下で今や日本は1億総ウオーキング時代。緊急事態宣言下の今は休日ともなれば普通の住宅街の路地に人が溢れて「皆、運動不足なのね!」と驚く。かくいう私も散歩は日常に根付き、テレワークの夜は魚がおいしいスーパーマーケットまで3駅分歩いたりしている。散歩はゴールがあった方が楽しい。コンタクトレンズショップで使用済みプラケースを回収ボックスに落とし、「無印良品」の給水ステーションで190円のボトルに水をくむ、なんて行為が私自身の昨日の散歩のゴールだ。(この記事はWWDジャパン2021年3月1日号からの抜粋です)
コロナ下の生活・ビジネスがまだ続くことが予測される中、小売店には「散歩のゴールとして何を提供できるか?」と思案することをお勧めしたい。オンラインストアとの連携やSNS活用といったデジタル強化は大前提とし、その上で「何をどう売るか」「どう集客するか」だけではなく、「散歩ついでに自店に寄ってもらうには?」を考える提案だ。
「散歩ついでに寄る」行為には購買目的とは違うモチベーションが必要だ。冒頭のプラ回収のように「環境にいいことをしている」満足感を提供できる施策はその筆頭で、サステナビリティの意識の広がりから、今後ますますモチベーションになるだろう。売る側・買う側の関係から“一緒に何かを成し遂げる”同志の関係になり得るからだ。
セブン&アイ・ホールディングスは2015年から空きペットボトルの回収を行っており、1月末時点でグループ各社店頭に1000台の回収機を設置。19年度は約3億6000万本分回収したという。陣頭指揮を執る同社の釣流まゆみ執行役員は2月22日、環境省が開いたオンラインイベントの中で、この施策に加えてフードロスの課題について触れ、「消費者に協力してもらい、消費期限が短くなったものを消費してもらうことも大切。提供する側と消費する側が同じ方向を見ていくことが何より大切」と話していた。まさに同志、である。
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