主要百貨店5社の21年2月度業績は、押しなべて1〜2割の減収だった。首都圏の1都3県と東海、関西、九州の6府県で新型コロナ拡大に伴う「緊急事態宣言」が継続し、都心店を中心に集客にマイナス影響を及ぼした。
各社の売上高を前年同月と比較すると、三越伊勢丹が7.2%減、高島屋が5.6%減、大丸松坂屋百貨店が10.0%減、そごう・西武が11.0%減、阪急阪神百貨店が11.6%減。昨年同時期にはすでに新型コロナの影響が中国で色濃くなり、各社の免税売上高は半分以下に目減りしていたため、マイナス幅は縮小した。ただ現在は免税売上高がほぼゼロになっていることを考慮すると、国内客の購買が押し上げていることが鮮明になる。
大丸松坂屋百貨店は、大丸心斎橋店が前年同月比6.0%のプラスとなった。もともと免税客の取り込みを前提として19年9月リニューアルオープンした同店だが、「面積を拡大したラグジュアリー売り場への国内富裕層取り込みや、心斎橋パルコとの相乗効果などが成果として表れた」(同社広報)。三越伊勢丹の両本店も、伊勢丹新宿本店が前年同月比4.5%減、三越日本橋本店が同2.1%減と健闘。特選や美術・宝飾・貴金属(前年同月比30%増)の好調などを背景に、国内客の売上高は前年同月の水準を上回った。
ボリュームの衣料品については引き続き足を引っ張っており、高島屋の婦人服が同17%減、大丸松坂屋百貨店の婦人服は同27%減。中身を見てみると、「ブルゾン、カットソーなど軽い羽織物の動きはいい」(三越伊勢丹広報)との声も上がる。
現在、首都圏では「緊急事態宣言」の7日解除が検討されている。当該地域の時短営業については「解除とともに営業時間を元に戻す方針」(三越伊勢丹広報)「現時点では未定」(大丸松坂屋百貨店)と各社の対応はまちまちだ。