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ブランド品リユースのコメ兵が青山店を“在庫レス”に刷新 足元商圏への小型店出店も強化

 ブランド品リユース大手のコメ兵は、東京・青山の店舗を移転し、骨董通り沿いに新たに「KOMEHYO AOYAMA」をオープンした。新店はディスプレー商品以外には在庫を置かないことで、旧店舗に比べて面積を大幅に縮小。さらに、そのうちの約半分はアートギャラリーになっている。また、内装の98%にリユース建材や環境に配慮した素材を使用するなど、同社としてさまざまなチャレンジを詰め込んだ店舗だ。

 新店舗は旧店舗から歩いてすぐの場所で、面積は2フロア合わせて約65平方メートル。1階には買い取りと取り寄せ販売のためのブースがあり、2階がアーティスト長坂真護による「サステナブルアート」のギャラリー「MAGO GALLERY AOYAMA」だ。店内のカウンターや什器にはリユース建材を使用しており、「店舗自体がサステナブル」と藤原義昭コメ兵執行役員兼マーケティング統括部長は話す。

 在庫を置かない店作りの背景には、「当社のEC上で商品を見定めてから実店舗に来店するお客さまが増えている」ことが背景にある。コメ兵のEC売り上げと、ECから店舗取り寄せに至った商品の売り上げが全売り上げに占める比率(=EC関与率)は、コロナ禍が後押しする形でこの間上昇している。「2020年10~12月のEC関与率は39.4%となり、前年同期から11.5ポイント上昇した」(広報担当者)という。「リユース品ゆえの差異などはEC上で確認していただき、気に入ったものがあれば店頭に取り寄せる。そうすれば接客時間も減らすことができ、コロナの感染リスクも下がる」と藤原執行役員。

 青山の旧店舗には800~1200点の商品を陳列していたが、在庫を置かなくなったことで、ギャラリーを含めた新店舗の面積は、旧店舗に比べて約130平方メートル縮小できた。青山店に先立って2月中旬に移転オープンした神戸・三宮の店舗も、同様の考え方を導入している。三宮店は、青山店のように在庫を全く置かないわけではないが、その数は減らし、契約面積としては旧店舗から約70平方メートル縮小した。

「アートは顧客である富裕層とも親和性がある」

 青山店の2階を売り場ではなくアートギャラリーにしたのは、「当社の中心顧客である富裕層に対し、バッグやジュエリーなどのモノを売るだけでなく、何か他のことができないか、精神的な価値も提供できないかといったことを社内でずっと議論してきた。アートの投資価値には富裕層も注目しており、旧青山店の顧客とも親和性があると判断した」(藤原執行役員)といった理由から。アーティストの長坂は、ガーナのスラム街に廃棄されていた電子機器などのゴミを素材として作品を制作している。主に若手起業家が出場するピッチ大会に、アーティストという異色の立場で参加していた長坂を藤原執行役員が偶然知り、長坂の考え方や作品に共感したのだという。

 このように、都心店ではアートギャラリー併設型でリユース業態ならではのサステナブルな価値観の打ち出しというチャレンジを行う一方で、顧客の利便性という面では、“足元商圏”への小型の買い取り専門店の出店を強化している。20年10~12月には、モザイクモール港北(横浜)、テラスウォーク一宮(愛知)などの商業施設内に、7店の買い取り専門小型店を出店した。「買い取りの催事を何度か行ってきたなかで、お客さまに近い場所に出ていくことが利用のハードルを下げるということが分かった」(広報担当者)ことから、こうした立地への出店は今後も強化していくという。このような商業施設内の買い取り専門店は、デベロッパーとの契約上、取り寄せ販売が不可能なケースもある。しかし、一部の買い取り専門店では取り寄せ販売にも対応し、OMO推進のための拠点としていく。

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