ラグジュアリーブランドの古着やグッズを専門に扱うパリ発のリセールサイト「ヴェスティエール コレクティブ(Vestiaire Collective)」は、1億7800万ユーロ(約227億円)の資金を調達したと発表した。
今回出資したのは、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを擁するケリング(KERING)と、米投資会社タイガー・グローバル・マネジメント(TIGER GLOBAL MANAGEMENT)などの数社。金額の内訳は開示されていないが、今回の出資によってケリングは「ヴェスティエール コレクティブ」の株式5%程度を保有する少数株主となっており、同社の取締役会に代表者を送る権利を得ている。また既存株主である仏投資会社ユーラゼオ(EURAZEO)やコンデナスト(CONDE NAST)、「ヴェスティエール コレクティブ」のマクシミリアン・ビトナー(Maximilian Bittner)最高経営責任者(CEO)らも追加で出資している。
フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)=ケリング会長兼CEOは、「ラグジュアリー製品の二次流通はいっそうの広がりを見せており、特に若年層に人気だ。『ヴェスティエール コレクティブ』は、当社の起業家精神、先進的なサステナビリティ戦略、ラグジュアリーに対する現代的なビジョンが合致しているので出資した」と語った。
ビトナーCEOは、「二次流通セクターは急激に成長しており、特に未来の小売環境を形成するミレニアル世代やZ世代などの若者に人気だ。よりサステナブルなファッション業界を構築し、当社のグローバルなコミュニティーをさらに成長させるに当たり、ケリングとタイガー・グローバル・マネジメントが貢献してくれて大変うれしく思う」と述べた。
「ヴェスティエール コレクティブ」は2009年の設立。専門家によるブランド品の真贋判定を強みに人気を伸ばしており、欧州や米国を中心に世界50カ国で700万のユーザーがいる。21年2月には、ブランド側が認証したアイテムを取り扱う新たなサービスを開始し、その第一弾としてケリングの傘下ブランド「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」と提携している。
仕組みとしては、まず「アレキサンダー・マックイーン」のスタッフが顧客に連絡し、売りたい物はないかを打診する。状態のいい物であれば買い戻し、顧客には同ブランドで使える商品券を払う。買い戻したアイテムは、「ブランド認証済み」のマークを付けて「ヴェスティエール コレクティブ」上で販売するというものだ。
ケリングのグレゴリー・ブッテ(Gregory Boutte)=チーフ・クライアント兼デジタル・オフィサーによれば、同社が擁するほかのブランドがこの新サービスに参加するかどうかは、それぞれの意思に任せるという。「参加は義務ではない。しかし二次流通市場が急激に拡大していることやその重要性、そして今回ケリングが出資したことを考えると、『アレキサンダー・マックイーン』に続くブランドも出てくるだろう」と語った。
ケリングとともにリードインベスターを務めたタイガー・グローバル・マネジメントは、過去にフェイスブックやJDドットコム、リンクトイン、スポティファイ、「TikToK」のバイトダンスなどに投資するなど、IT関連ではよく知られた投資ファンド。昨年12月にはリセールスニーカーのオンライン取引所のストックX(STOCK X)が2億7500万ドル(約291億円)の資金調達をした際にもリードインベスターを務めている。